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借金苦の若者が集うシェアハウス。男女約10人が共同生活中

コロナ不況のもとで家や仕事を失い、さらに借金まで抱えた若者たちが集まる「セーフティネットシェアハウス」という施設がある。コロナによって苦境に立たされた若者たちが寄り添う施設とはどのような場所なのか。訪ねてみた。

家や職場を失った若者が住む「新たなセーフティネット」

借金

男女が交じって集団生活を行っているが、トラブルは一切ないとか

 現在、「セーフティネットシェアハウス」では10~30代の男女計37人が3部屋に分かれてシェア生活をしており、そのうち25人が借金を抱えているという。   JR大塚駅から徒歩10分ほど。着いた場所はマンションの一室だった。12畳ワンルームの中央には大きなテーブルがあり、それを囲むように5台の二段ベッドが設置されて、この部屋では現在、19~27歳の男女10人が生活している。  入居3か月目になる男性が入居した経緯を話す。 「コロナで会社がつぶれて、寮を追い出されました。実家とは絶縁状態なので帰れないし、当時は所持金が3000円です。さらに消費者金融やカード会社からの借金が100万円超もあって。行くあてもなくその日暮らしをしていたら、ある日、栄養失調で倒れて病院に運ばれてしまったんです。そんなときにツイッターで『#家出』と調べていたら、ここの情報が出てきて、入居をお願いしました」

周りに言いづらい借金の話もオープンにできる

 同じようにコロナで失業して家を失い、バスタ新宿で半月も寝泊まりしていたという入居男性も。 「僕も同じようにツイッターで存在を知りました。消費者金融数社から110万円くらい借りています。今でもシェアハウスに督促状が届くんですが、返せるメドがまったく立たないので……」  そう言うと、彼は記者の目の前で督促状をビリビリ破ってみせた。 「まぁ返せるなら返したいけどね」などと自嘲気味に笑い合うメンバーたち。周りに言いづらい借金の話も、ここではオープンなのだ。
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督促状を破り捨てた男性も「定職に就いて借金も返済したい。今はその準備期間です」と語った

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貧困ビジネスではなくあくまでシェアハウス
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