「女子アナに向いていない……」安住アナがくれた金言
――TBSのアナウンサーの同僚や局員の方からは退社について何か言われましたか?
伊東:寂しかってくれる人も多かったですし、「お前は面白い人間だったな」って笑顔で送り出してくれる人ばかりで、TBSの社員でよかったなとは思いました。
――特に印象的な言葉をかけてくれた人は。
伊東:先輩アナウンサーの安住紳一郎さんは1年目からすごく友好的に接していただきました。きっかけは新人時代に「アナウンサーに向いていなくて苦しいです」と相談したときに「
向いていないと悩むってことは、アナウンサーという職種と“真剣に向き合いたい”と思っている証拠だから」と言ってくださって。その言葉のおかげで、皆さんから見ると短いかもしれないですけど5年間アナウンサーをやり遂げられました。
――退社を決意した経緯を改めて教えていただけますか。
伊東:辞めたいと思ったのは、ニュース原稿や台本を読む代弁者ではなく、自分で思ったことを自分なりに発信していくほうが向いていると思ったからです。その中で自分を知ってもらう一番の手段が絵を描くことだなと思って。アナウンサーじゃない本当の私を知ってもらうのはそれしかないと。
――女子アナといえば、一般的には華やかな世界と思うのですが。
伊東:一見すれば華やかな世界ですけど、皆さんと同じようにいろんな葛藤があったし、自分を探していたんです。
『唯一の月』(光文社)
――このたび発売された絵詩集『唯一の月』には詩も添えられていますが、最初からこのスタイルでいくつもりだったんですか?
伊東:退社前からインスタグラムで絵は投稿していたんです。最初は絵だけだったんですが、詩も付けてみたくなって。そしたら周りからの反応も良くて、それが私のスタイルになっていった感じですね。
――絵と詩はどちらが先にインスピレーションされるんでしょうか?
伊東:詩が先です。詩のメッセージが間違った方向に捉えられないように絵を描いていく流れです。
――特に思い入れのある作品は。
伊東:全部です。見ている人に作品の魅力を委ねたいと思っています。個展(3月28日終了)でも「この絵は誰を描いているの?」「どういう心情の絵ですか?」とか聞かれるんですが、皆さんに自由に解釈してほしいので、解説はしないようにしています。
――個展の反響は?
伊東:想像以上に反響があって驚きました。34点の原画を飾ったのですが、すべて売れてしまって自分でもびっくりです。