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「馬の目利きは“夢”と堅実さが重要」一口馬主界の風雲児、DMMバヌーシーが求める新馬

代表代行自ら馬の動画を撮りに全国を飛び回る

 DMMバヌーシーでは、会員に向けて毎週所属馬の動画を配信するサービスを行っているが、椎名氏自身も毎週現場に足を運びカメラを回しているそうだ。 「牧場で働いていたメンバーは、牧場やトレーニングセンター、競馬場など、現場を飛び回りながら情報を収集して動画を撮影しています。私も現場に駆けつけては、レース映像を撮って、勝ったら会員様を口取り(記念撮影)に案内し、騎手と調教師にインタビューして……と、そこそこ忙しくやっております(笑)。ひとりで現地に行くことも多いですし、簡単な動画編集もしていますよ」(椎名氏)  出走予定馬や注目馬に限らず、全所属馬の動画をアップしている。レース前調教、放牧で草を喰む様子、藁や砂に寝転ぶオフショットなど、その内容はさまざまだが、やはりレースで走っている姿を見たいというのが馬主心のようだ。 「実際に一口クラブに入ってみて、単に馬券を買うだけではない、当事者の楽しみというのは感じます。ただ、自分の馬がなかなかレースに出られないとなると、『また放牧しているのか〜』と、もどかしい気持ちも出てきますね」(青木氏) 「記者時代はレースに出てくる馬しか見ていませんでしたが、いざサービスを提供する側になると、デビュー前や休養中の馬のことも同じように大事です。映像というかたちでも還元して、会員さまに楽しんでいただきたいですね」(椎名氏)

馬の目利きは“夢”と堅実さのバランスが重要

タイムトゥヘブン

ダービーに出走したタイムトゥヘブンは残念ながら13着と結果を残せなかった。しかし、2頭出走という偉業をDMMバヌーシーは果たした

 新興のクラブにして勝ち馬を多く輩出しているDMMドリームクラブだが、馬の目利きも、先述の牧場出身者と椎名氏が主に行っているという。 「長年せりを見てきた経験から、この馬はいくらぐらいの値段で売りに出されて、いくら賞金を獲得するだろう、と計算しながら大体の予想を立てていますね。また、セレクトセールの前には必ず牧場に行きますし、調教師さんや牧場関係者の意見も参考にさせてもらっています」(椎名氏)  DMMドリームクラブ設立当初は、関連会社がキタノコマンドールを1億9000万円(税抜、以下同)で落札し、2017年にはラヴズオンリーユーを1億6000万円、ダブルアンコールを3億7000万円で落札と、注目度が高く血統のいい馬を億単位の高額で落札していたが、最近は馬選びの傾向が変わってきたそうだ。 「高額の馬は投資として考えると、どうしても回収が難しい点がネックになります。かといって安いだけでは出資者は満足しないと思うので、どこかに“夢”の要素は入れないといけない。  同じ世代の馬が何頭かいるなかで、堅実に走ってくれそうな馬もいれば、一発大物になりそうな可能性のある馬もいて、全体の予算感でバランスを取るようにしています」(椎名氏)  2020年度は、サービス開始の初年度(2017年)に募集した馬の仔を募集にかけ、めでたく満口を達成した。 「引退した初年度募集馬アイワナシーユーの仔で、すでに満口となりました。競馬のロマンは血の継承だと思いますので、事業を継続することで少しでもその魅力を伝えられたらいいですね。応援した馬の仔を応援するという循環ができればいいと思っていますし、そうなりつつあるのかなと感じています」
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