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完成確率は20%? 陥没事故発生で遠のく外環道完成

土地所有者の同意なしでトンネルを掘れる「大深度地下法」だが……

 住民側はまだ、最大2cmの地盤沈下程度の被害しか受けていないが、大地震が起きれば、液状化の可能性もある。原状回復のメドが立っていない状態で、強引に工事を再開するのは困難ではないか。 「大深度地下法」は、土地所有者の同意なしに、40m超の大深度にトンネルを掘ることを可能にした画期的な法律だが、そもそも大深度トンネルは「地表への影響はない」というのが前提。その前提が崩れてこういった事故が起きると、その時点でアウトになってしまうリスクをはらんでいることが浮き彫りになった。  個人的には、長年外環道東京区間の完成を待ち望んでいただけに、茫然自失である。

大深度地下トンネル工事も、ある意味壮大な「賭け」

 現在進められている大深度プロジェクトの代表は、JR東海のリニア新幹線だ。起点の品川から33kmと、終点の名古屋から17kmの市街地が大深度地下トンネルとなる。  リニア新幹線の場合、深度は55~90mと外環道(陥没現場で47m)より深く、トンネル直径も14mで、外環道の16m×2本より狭い。地質も外環道よりもいいというから、地上に被害が及ぶ事故のリスクは小さいはずだが、一度事故が起きてしまうと、その時点で巨大プロジェクトがご破算になる……かもしれない。
リニア新幹線

リニア新幹線工事の大深度部分(「シールドトンネルにおける安全・安心等の取り組みに関する説明会より)

 リニア新幹線は、静岡県内のトンネル工事が静岡県知事の認可を得られず、大きな障害になっているが、大深度地下トンネル工事も、ある意味壮大な「賭け」だ。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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