更新日:2021年08月31日 14:48
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「タリバンは残虐なテロリスト」って本当? 現場を知るNGOスタッフの答え

タリバンは現地でどのように捉えれられているのか

トランシーバーで建設現場での指揮を取る中村医師(2008年10月、ナンガルハル州)

トランシーバーで建設現場での指揮を取る中村医師(2008年10月、ナンガルハル州)

西牟田:カブールでアメリカナイズされた人たちや外国人と、それ以外の地方の人とでは文化がまったく違うし、捉え方も違うのですね。とすれば、怖い人たちなのか、地元に根づいた普通の人たちなのか、タリバンに対する捉え方は立場によってまったく変わってくるのですね。 長谷部:もちろん1990年代のタリバンは、石打ちで処刑をするなど残虐なことをやったり、女子の教育を禁じたりしていました。しかしその後、2010年ごろには女子教育を認める考えを自分たちのウェブサイトに出すなどするようになりました。20年経って、少しずつ彼らも変わってきていると思います。  ただ、1990年代のタリバンしか知らない人にとっては、西洋の国々から見て遅れているとか、残虐で暴力的だとか、男尊女卑だとかいったイメージのままなのかもしれません。

性急に社会を変えようとして支持を失ったアメリカ

西牟田:米軍はどうですか? 私の友人の常岡浩介さんが2010年にアフガニスタンから帰って来た後に聞かせてもらった話によると、アメリカはかなり嫌われていて、当時すでにかなりの部分をタリバンが押さえてたという話でした。 長谷部:アメリカは自分たちの価値観に則って、民主主義や男女平等、女性の社会進出などをアフガニスタンに取り入れようとしました。しかし、田舎には伝統的な文化や社会習慣が根強くある。権利を認めていくことはいいことなのですが、アメリカはそれを急激に変えようとしてしまったのではないでしょうか。 西牟田:当時、米軍はたくさん誤爆をしていましたね。 長谷部:当初は「タリバンよりもいい形に国を変えてくれるんじゃないか」と期待する人々もいたのですが、2000年代後半になるとアメリカは支持をほとんど失っていました。罪のない人が米軍とNATOの誤爆や攻撃でたくさん亡くなりましたから。 西牟田:そこに文化の押しつけも加わってきたと。 長谷部:そうです。アメリカ軍は誤爆をたくさんしただけでなく、ときには「テロリスト」がいるということで家宅捜索したりもしました。そのとき、女性たちがいる部屋も含めて入っていくわけです。家の中で顔を出して過ごしている女性たちが外国人に顔を見られたりするわけです。それは現地の人にとっては衝撃ですし、反感を買いますよ。  実際に、私は長老から言われたことがあります。 「アメリカは私たちの文化の破壊者だ。我々の文化を犯そうとしている」と言って、非常に怒っていました。  権利や生活の向上自体はいいことですが、アメリカは特に統治のあり方と女性の権利に関して、西洋のやり方をこの20年間押しつけ過ぎてしまいました。もっと現地の事情になじんだ方法で少しずつやるべきでした。
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文化を尊重しながら、徐々に変えていくことが必要
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中国の「爆速」成長を歩く

1990年代初頭からの、中国の急激な成長の実像をたどる

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