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日銀の黒田総裁退任まであと半年。次は誰なら“まだマシ”か/倉山満

副総裁候補を巡っての財務省OB同士のつばぜり合い

 これまで副総裁候補の最有力は、浅川雅嗣元財務官だと目されてきた。専門性が求められる日銀副総裁(5年後の総裁)には、国際局長~財務官を経験した、浅川氏が適任だとの論理だ。だが、ここに来て事務次官経験者を推す声も出ている。財務省にとって日銀総裁は「ロイヤルロード」と呼ばれる最高の天下り先。事務次官経験者の中でも日銀総裁に就いた者は「ドン中のドン」と呼ばれる。そう簡単に財務官経験者に渡す訳が無い。財務省OB同士のつばぜり合いが表面化したのが、この日の『日経』記事の白眉だ。  同紙が挙げるのは、岡本薫明(昭和58年入省、61歳)。普通は1年で退官のところを、2年務めた、実力次官。何をやっても収まらなかったモリカケ騒動が岡本就任と同時に鎮圧、当時の安倍晋三首相に消費増税10%をやり抜くと宣言させ、何事もなく達成した。ただし、金融の経験は、3年ほど金融庁に出向しただけ。

消費増税8%を安倍政権に呑ませた木下康司氏の可能性

 岡本氏なら「ドン中のドン」の有資格者だ。その前の「2年次官」は勝栄二郎(昭和50年入省、72歳)だが、年齢が高すぎる。  だが私は、もう一人の候補がいると踏む。木下康司(昭和54年入省、65歳)。絶頂期の安倍首相に真正面から喧嘩を売り、完膚なきまで叩きのめして消費増税8%を呑ませた。ちなみに国際局長の時に、為替介入で10兆円をドブに捨てた。  正副総裁の組み合わせとして、国内の調整に長けた雨宮総裁なら副総裁は財務官経験者(浅川)、国際金融の専門家の中曽総裁なら事務次官経験者(岡本)との観測気球も流れてくる。
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黒田退任後、即座に景気回復策をやめる可能性は高いし、そういう兆候だらけだ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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