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巨人はなぜ「若手を使わないのか」。ヤクルト高津監督と対照的な“原監督の哲学”

外そうと思ったのは一度や二度ではない

 今から3年前、私は原監督にインタビューする機会があったのだが、当時のことを振り返り、「そうした声に従ったほうがいいかなと思う気持ちが強くなった」と話していた。  坂本を外そうと思ったのは一度や二度ではない。「今日は外そう」「今日こそ外すぞ」。連日東京ドームに向かう車のなかで、あるいは監督室で何度も何度も考えていた。

気づけばスタメン表に坂本の名前が

 ところが、コンコンと監督室をノックする音が聞こえる。原監督が「どうぞ」と言うと、ガチャッとドアが開くなり、 「おはようございます!」と元気のいい声が聞こえてきた。坂本が練習用のユニフォームを着て、笑顔で立っていたのだ。  前夜の試合後、クタクタに疲れている坂本の姿とはうって変わり、目を見たらギラギラしていた。それを見た原監督が「ようし勇人! グラウンドに出て練習するぞ」と語りかけると、坂本は「はい!」と真剣なまなざしで返してくれる。へこたれた様子もまったくない。  そうしたたたずまいを何度も何度も見ているうちに、気づけばスタメン表には、「8番・6(ショートの位置)・坂本」と書いていたことがしょっちゅうあった。
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巨人で若手を起用する意味を考える
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スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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