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現役獣医師が見た「最悪な飼い主」の実態。初診なのに“愛犬の安楽死”を依頼されることも

 ここ数年で社会的にも注目されるようになった、犬猫の飼育放棄問題や殺処分問題。全国の動物愛護団体が必死になって活動しているが、まだまだペットを“モノ扱い”しているかのような酷い飼い主が多くいる。  都内の動物病院で院長を務める獣医師のS氏は「犬や猫の気持ちをまったく考えていない酷い飼い主さんをたくさん見てきました」と話す。

手術代を払わず、逃げ去る飼い主

動物病院

写真はイメージです(以下同)

「これは動物病院界隈ではよくあることなのですが、手術代を払わずに逃げてしまう人がいるんです」  ペットの手術代は支払額が10万円以上の高額になることも多い。待合室で会計時に呼んでも返事がなく、いつのまにかペットとともに消え去っているんだとか……。 「私の病院でも何度か経験があります。3年くらい前の話なのですが、入院していた犬の手術が終わり、まだ入院しなければいけない状態で50代くらいの女性飼い主と面会することになったんです。そして看護師が少し目を離した隙に、犬も飼い主もいなくなっていました。正直、追いかければ捕まえられるかもしれませんが……。あんまり追いかけすぎても、それを見ていた人に動物病院側の評判が悪くなる口コミを書かれるかもしれないので、ちょっと追いかけづらいんですよね」  なお、そのときの支払い金額について「入院費もあったので20万円くらいでした。最初にちゃんと金額の説明もしているので、ハナから逃げる気満々で入院させたんだと思います」とS氏は話した。

愛犬の命を大切にしないことの方が問題

 診察代を払わなかったことも論外だが、診察の途中だった愛犬の身体のことを何も考えていないことにS氏は憤っていた。 「もちろん、それ以降来ることはありませんでしたが、まだ完治していないワンちゃんがどうなったのか心配です……。飼い主は『他行けばいい』くらいに思っているかもしれませんけど、他の病院に移るときに、その子のカルテなどの情報は引き継げないわけじゃないですか。また最初から診察ってなると、そのワンちゃんに負担がかかりますからね。金額的にも病院としての損失が大きいですが、自分が飼っているペットの命を大切にしていないことの方が憤りを感じます。自分の子供にも同じことするのかって話ですよ」
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初診で安楽死を提案してきた最悪な飼い主
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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