更新日:2023年10月29日 09:18
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東大医学部9浪、医師国家試験6浪…38歳の“元神童”が今でも「毎日10時間勉強」する理由

「東大理Ⅱ」合格も「理Ⅲ」合格を目指し、9浪

ルシファー氏

超名門校でも“出る杭”扱いされ、途中退学する

 全国から“出る杭”が密集する超名門校においても、生きづらさを感じたとルシファー氏は話す。中学校1年生にして数学オリンピックの予選を通過するなど才能を証明したものの、変わり者の扱いは変わらず、高校に進学するころには退学した。ちなみに数学オリンピック予選通過のレベルは、それだけで早慶などのAO入試出願要件になるほど高い水準である。 「筑駒を退学したあとも、医師になりたいとは思っていました。大検(当時)を2ヶ月で取得し、東大理Ⅲを目指して勉強を開始しました。途中、東大理Ⅱには合格しました。そのとき、特に家族が涙を流して喜んでくれたのが印象的でした。現在でも家族とは関係が良好で、この年齢まで実家に住み続けています。その後、理Ⅲに合格するまで勉強を続けました。結果的には9浪して、入学することができました

医師国家試験の取得に執心する理由

 そこまでの労力を投入して東大に入学し、医師を志す理由は何か。ルシファー氏には壮大な夢がある。 「全世界に病院を作って、病気で苦しんでいる人たちが、生まれた地域などによって受けられる医療に違いがなく安心して暮らせるような世の中を実現できたらいいなとは思います」  翻って、国家試験浪人中の自分自身をどのように見ているのか。 「ネットでは『国家試験も受からないで』と叩かれることも多くあります。実際、そのような声をもらうたびに、案外傷ついたりしています。  確かに、東大理Ⅲに受かることに比べたら、一般的には医師国家試験は簡単なのだというのはわかります。しかし私にとっては、とても難しいのです。所見から考えられる病名について問われるよりも、純粋に難しい数学の問題を解いている方が私には向いているのかもしれません
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1日10時間の勉強を続け、夢を追う日々
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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