「課長」の入門本、アメリカ人が読んだ感想は?
ビジネス本ブームの日本。己を鼓舞してくれたり疲れたココロを名言で癒してくれたり、サラリーマンのいかなる悩みも受け止める充実っぷりである。が、裏返せば、現状への不満不安の表れでは? 世界各国、ビジネス本の売れ筋を見れば、その国の経済や社会、文化が見えてくる。ならば、日本のビジネス書は外国人からはどう見えるのか?
◆本で語れる成功術がある日本は幸せ?
外見も名前も日本人であるが、アメリカ出身の日系4世、アメリカのメーカーに勤務し、現在日本支社で働く栗原寛之さんへの課題図書は『はじめての課長の教科書』。この本は現場のリーダーでありながら管理職としては一番下という課長の行動原則を、具体的かつ実践的に解説したものなのだが、そもそもアメリカに課長はいるの?
「課長にあたるmanagerというポジションはありますが、日本のように“調整役”ではありません。アメリカでは課長にもその権限は明確にあり、それが上司や部下と対立するときはそれぞれで向き合って解決していくしかない。日本の縦割りの組織だからこその板挟みなのでしょうが、その悩みというのは、自分なりの解決法や考えを持たないからでは?」
もとよりこの本、「ミドルマネジメントは欧米からは学べない」と、日本独自の“調整役”中間管理職を強みに変えようと説いているわけで、逆に言えば、この本が欧米人に参考にならないのも当然。
とはいえ、「アメリカではいろいろなバックグラウンドの人が集まっています。例えば、上司がインド人ということだって珍しくない。世代どころか、文化やパーソナリティ、個々人の価値観の違いなどさまざまな要因を乗り越えなくてはいけない」なんて話を聞くと、ポジションや年齢でカテゴライズしたノウハウ本が成立する日本って結構、のんきなのかも。
最後は、ベストセラー『夢をかなえるゾウ』を読んだ、イタリア人のファブロさんの感想である。
「この本が言う謙虚さや感謝する気持ちの大切さって、イタリアではスポーツ選手のノンフィクションでよくあるテーマ。でも、やっぱり、イタリア人は仕事につなげては考えません。あ、読みやすくて楽しめたよ。ためになるかはわかりませんけど(笑)」
『はじめての課長の教科書』
「日本初(そしておそらく世界初)の中間管理職の入門書」として中間管理職の行動原則を詳述。発売から3年がたつが、いまだアマゾン上位にランクイン
(酒井穣・ディスカバー21)
『夢をかなえるゾウ』
ゾウの姿をした神様ガネーシャがダメサラリーマンに成功のための課題を与えていく。成功とは?という自己啓発のメインテーマをカジュアルな物語で綴る(水野敬也・飛鳥新社)
取材/ギャニベイ阿希子 Hiro Nakano
取材・文/斉藤真紀子 田中奈美 田山奈津子 古澤誠一郎
― 各国ビジネス本の「何で?」なベストセラー【12】 ―


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