ライフ

3歳で両親との別離を決意…“149cm109kg”の脳外科医が「挫折を苦にしない」ワケ

クラスで仲間外れにならないための戦術

 コミュニティの狭い地方都市で生き抜くためには、さまざまな術が必要になってくる。まあや氏自身、気を使って学生時代を過ごしたと話す。 「当時は、片親であるというだけでヒソヒソ噂をされるような時代です。祖母からは『あなたは両親もいない子なんだから、教室の片隅でひっそりと呼吸をしなさい』と言われていました。  実際、教室の主流派――今でいえばスクールカーストの一軍というんでしょうか――にはなれないことは自覚していました。私が生きるためには、『あいつ、ヘンだけど面白いよね』というようなキャラクターでいなければと考えました。クラスの序列がピラミッド型だとしたら、その隣にある“別館”みたいなところにいて、仲間はずれではないけど序列のどこにも所属しないような、そんな立ち位置です。私の戦術は、概ね奏効したと思います」

「どうしてあんたは生まれてきちゃったんだろうね」

 客観的にかつ正確に状況を捉えることによって、ひたすら研ぎ澄まされていくサバイバル本能。もしかするとその根底には、こんなショックな出来事があったのも無関係ではないかもしれない。 「今でも覚えているのですが、10歳くらいのとき、祖母に『生きているのがつらい』と相談したことがありました。すると、祖母は神妙な顔で『だからあのとき、堕ろしなさいと言ったんだよね。どうしてあんたは生まれてきちゃったんだろうね。可哀想に』と呟いたのです。それ以来、母に対する憎悪が一層強くなりました」
次のページ
「脳外科」を志した理由は…
1
2
3
4
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

記事一覧へ
2023年11月30日まで、ラフォーレ原宿にて開催されている『愛と狂気のマーケット』にて、Drまあや氏が出店中。
おすすめ記事
ハッシュタグ