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3歳で両親との別離を決意…“149cm109kg”の脳外科医が「挫折を苦にしない」ワケ

ままならない関係性に苛まれるよりは…

 30歳を過ぎてゼロからファッションの勉強を始めたまあや氏。一流のアーティストやその卵に揉まれながら刺激的な日々を過ごしたが、挫折も多く味わった。自らの実力不足から、希望していたファッションの専門コースへは入学できなかった。  医師として安定した収入がありながら、挫折を経験してでも別の畑に飛び込んで自分を表現すること。それはまあや氏にとって、生き方に直結する壮大な挑戦でもある。 「今でこそ私は、いろんな方から『一度見たら忘れない』と言っていただくのですが、勤務医時代、眼鏡を外していたら看護師さんに『あれ、先生どこ?』と探されたくらいでした。その看護師さんにとって、私は眼鏡のイメージなんですよね。  でも翻って、それは個性を自分で作れるということです。ほとんどの人が、私をカラフルな洋服と髪の毛とこの体型で認識していると思いますが、それでいいのです。面白いから。いつからか、人生は、面白いか面白くないかで進む方向を決めるようになりました。  臨床の現場に立っていると、日々、さまざまな方が運ばれてきます。なかには残念ながら亡くなる人もいます。人間は年齢の順番で亡くなるわけじゃないし、いつ誰が亡くなるか、誰にもわかりません。死のその瞬間までを生きるのが人生だから、死に際に『これをやっておけばよかった』と思いを残したくないんです。  私と両親の関係性はお話した通りで、現在でもほとんどどこにいるのかわからない程度の関係です。しかしそれでいいと思っています。どんな家族でも、それが家族なのだと受け入れることは存外大切なのかもしれません。ままならない関係性に苛まれるよりは、とにかく動いて何かを見つける。その先に、自分の道が見つかるのだと思っています」  おどけるように人生をかき分けて進むまあや氏の生き様は軽やかで、悲しさを残さない。あらゆる世界を自らの好きな色に染めて、これからも彼女は“カラフルデブ”を突き進む。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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2023年11月30日まで、ラフォーレ原宿にて開催されている『愛と狂気のマーケット』にて、Drまあや氏が出店中。
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