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紅しょうが優勝!波乱の『THE W 2023』採点徹底分析。代打MC山里亮太から国民投票中止まで“不測の事態”も

「いないハムスターより本物の角刈り」

 今大会、審査員たちが最も頭を抱えたのがCブロック第1試合だった。初代女王のゆりやんレトリィバァが、見えないハムスターと「エアハムスターショー」を繰り広げれば、5年ぶりの決勝となるあぁ~しらきはエアドラムを叩きながら登場し、「妖怪角刈りおばちゃん」に姿を変えて踊り出す。  異種格闘技……というか、ある意味同種の競技による異次元の戦い。眉間にしわを寄せる審査員たちに「お疲れさまです!」と頭を下げる山里亮太に、川島は「これどっちも負けっていうのはあるんですか?」と尋ねるほど。ふたを開けてみれば審査員6人中4人が、そして国民が角刈りおばちゃん(あぁ~しらき)を選んでいた。
THEW2023

Cブロック第1試合は、ゆりやんレトリィバァとあぁ~しらきのぶつかった異次元の戦いだった(作表/井上マサキ)

 実はこの両者、2018年の『THE W』でも対戦しており、そのときもあぁ~しらきが勝利している。審査コメントを求められた塚地は「マジで両方とも何を見せてくれてんねん」と嘆き、勝敗を分けたポイントに「いないハムスターより本物の角刈り」を挙げた。虚像より実像。新たなことわざの誕生である。  その後、第2試合では4人の「完全体」となったぼる塾が登場。育休中だった酒寄が復帰し、4人漫才で荒れた空気を元に戻し4-3で勝利。第3試合ではエルフが引きこもりの妹を見守るコントを演じて、7-0の満票で勝利する。これで各ブロックを勝ち抜いた3組とも、コントで最終決戦に進んだ。

あの「赤・青・緑」の紙はいつ用意されたのか

 最終決戦は3組がネタを披露し終わったあと、審査員+国民投票の7票で優勝者を決める。出順はくじ引きでスパイク、エルフ、紅しょうがの順に決まった。  さっそく1組目のスパイクからネタを披露するのだが……冒頭の音声が聞こえてこない。会場では笑い声が起きているので、スタジオには2人の会話が聞こえているらしいのだが、音声トラブルで視聴者には声が届かないのだ。音声トラブルは冒頭10秒ほどだったが、コントの設定を伝えるために大事な10秒でもある。この2人はどういう関係で、この部屋はどちらの部屋なのか、理解するのに時間がかかった人も多いのではないか。  このトラブルを受けて番組は謝罪するとともに、公正を期すために「国民投票の中止」に踏み切った。スパイクのネタがきちんと聞こえていたスタジオのみが審査できるとしたのだ。投票は審査員6名に限り、同点が出た場合は観客投票とする。「急に運命握っちゃったよ……!」と観客に呼びかける山里亮太。  ここで気になったのは、100名近くの観客たちが(3組の投票に対応する)赤・青・緑の色紙を持っていたこと。音声トラブルが起きて10分ほどで、国民投票の中止を決めて全員分の色紙を用意したということ……? と思ったが、恐らくこの色紙は「国民投票でマシントラブルが起きたときの保険」として、最初から用意されていたものではないだろうか。  各ブロック戦の段階から、もし何らかのトラブルで国民投票ができなくなった場合、審査員6名と観客席の7票で勝敗を決めることにしていたと考えると、迅速な対応も納得できる(どうやって観客投票を素早くカウントするのか?観客投票も同点だったらどうするのか?という疑問は残るが)。審査員の投票が蝶となって飛ぶ演出も、最後は異なるものに変わっていた。起きてはいけないトラブルだったが、有事のためにこうしてリスクマネジメントがされていることを感じた展開だった。
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「あわてんぼうなサンタクロースがいたもんだ」
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ライター。大手SIerにてシステムエンジニアとして勤務後、フリーランスのライターに。理系・エンジニア経験を強みに、企業取材やコーポレート案件など幅広く執筆するかたわら、「路線図マニア」としてメディアにも多数出演。著書に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』(ダイヤモンド社)など。X(Twitter):@inomsk

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