「カラオケまねきねこ」が繁盛する理由。“若者の心を掴んだ”立地よりも重要なポイント
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
宴会シーズンを迎え、繁華街にほろ酔い姿の人々を見かけるようになりました。宴会やパーティーの2次会、3次会の定番といえば、カラオケボックス。カラオケ市場はコロナ禍からの回復途上にあり、完全回復はしきっていません。会社によって明暗は分かれています。
「カラオケまねきねこ」は大幅な増収となりましたが、「カラオケの鉄人」は減収が続いています。両社の間でなぜ明暗が分かれてしまったのでしょうか。
全国カラオケ事業者協会によると、2022年のカラオケボックスの市場規模は2602億円でした(「カラオケ業界の概要と市場規模」)。この数字はコロナ禍を迎える前の2019年の3798億円の7割にも満たないもの。この逆境で業績を伸ばしたのが、「カラオケまねきねこ」でした。
運営するコシダカホールディングスは、2023年8月期のカラオケ事業の売上高が前期比44.6%増の523億1800万円、営業利益が前期の3倍となる90億600万円でした。
恐るべきことに、コシダカのカラオケ事業は2022年8月期において売上高が前期の1.8倍となり、黒字転換も果たしていました。そこから更に大幅な増収増益となったのです。
2021年のカラオケボックスの市場規模は1550億円。2019年と比較すると4割程度まで縮小していました。
そんななか、コシダカは需要が完全回復していない中、強気にも繁華街への出店攻勢をかけました。「カラオケまねきねこ」は、2021年8月期において繁華街に41店舗、2022年8月期に38店舗出店しています。なお、2019年の繁華街への出店は16でした。
コロナ禍のカラオケ店といえば、ウィズコロナの経営の在り方を模索していたタイミング。JOYSOUNDの直営店では、個室でライブビューイングや舞台を楽しむ歌わないカラオケ「みるハコ」をサービス化。その他、「テレワークプラン」などを各社が打ち出していました。
その一方でコシダカは直球勝負で出店を仕掛け、都市部の繁華街店が業績をけん引。見事、2022年8月期にV字回復を果たします。
逆境下において大幅な増収増益
都市部の繁華街に強気の出店
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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