日経平均3万6000円超え。新NISAの導入が追い風に
2024年1月15日月曜日の東京証券取引所で、
日経平均は一時3万6000円の大台を超えた。先週からの堅調な株価上昇を受けてのものだ。これで6連騰。15日までで、今年の日本市場はまだ8営業日しかないので驚異的だ。このきっかけを作ったのは、間違いなく
新NISAの導入だ。
新たな個人投資家の資金が株式市場に流入することを見越して、外国人を含む投資家も積極的になり、株価が上がることで個人投資家もさらに積極的になる。そういった好循環が起きているのだ。
そして、株価がこうして上がっていくと、多くの個人投資家が潤うことになり、消費も伸びて日本経済全体にいい影響を与える可能性は少なくない。つまり、政治がきちんと判断すれば、世の中は変わると言ういい事例だ。
ところで、新NISAが始まったので少し様子を見て、得できそうだったら自分もやってみようと思っている方は少なくないと思う。もしくは、証券会社に新NISAの申し込みをして、多くの新NISA本に書いてあるように、つみたてNISAで投資信託を申し込んでいる人もいるだろう。
特に三菱UFJアセットマネジメント社の『
全米株式 eMAXIS Slim全米株式』や『
オルカン eMAXIS Slim 全世界株式』が大人気だ。
しかし、2024年になって
世界で一番、値を上げているのは間違いなく東京市場だ。それを知って、新NISAでも、つみたてNISAだけでなく、個別銘柄に投資をする成長投資枠もやっておけば良かったかなと考えている人もいるだろう。
特に1月2週目に日経平均が一気に3万5000円を上回って終わったことで、日本の個別銘柄に興味を持たれた方も少なくないはずだ。しかし、これだけ株価が上がってしまうともう遅いのかなとも考える人もいるだろう。
しかし、報道が伝える大見出しだけでなく、株価をもう少し丁寧に見てもらいたい。どういうことかと言うと、確かに日経平均株価は大幅に上がった。
例えば、1月12日金曜日は5日連続で続伸したとテレビニュースを中心に大きく報道された。しかし、この日の市場を私は日経平均は上がったかもしれないが、株価はむしろ下がったと見ている。4日間連続で急騰したので、利益確定の売りも多く出た日だったと考える。
なぜなら、東京証券取引所のプライム市場において、
値上がり銘柄417に対して、値下がりしたのは1209銘柄もあったからだ。この日の日経平均は、インデックスに大きな影響を与えるユニクロのファーストリテーリング社など一部の株式の上昇が平均株価底上げの要因だった。
そして、こうした少数の会社がインデックスに大きな影響を与える傾向は、アメリカの株式市場ではさらに顕著で、
アマゾンや
グーグル、
アップルなど7社の株価が新興企業が中心のはずのナスダックでは3割近く、主要500社のインデックスであるはずのS&P500でも1割以上を占めていると指摘されている。つまり、
この7社のどこかが失速することがあれば、それをきっかけにアメリカの株価は崩れてしまう可能性がある。
また、つみたてNISA1本派の方で、アメリカの株価は堅調に上昇してきたじゃないかと思われている方も要注意だ。なぜなら、多くの人が見ているのが、円ベースでの全米株式などの値動きを示すグラフだからだ。S&P500は、2022年は年間を通して軟調だった。しかし、同時に円安が進んだために、
その低調ぶりを円安が補い、つみたて投資家はアメリカの株価が調整局面にあったことを体感せずに過ぎてしまったのだ。
今年は、アメリカ経済の減速が確実視されている。もはや、減速が激しいものか緩やかなものかが議論の中で、景気が悪くなることは専門家の一致した見方なのだ。さらに、日銀の金融政策の変更とアメリカ中央連邦員会の金利引き下げで円高が進むことも間違いないだろう。オルカン、全米株式の
つみたてNISA派の個人投資家には、株安と円高という2つの逆風が吹くかもしれない。
日本株を上げている銘柄は値がさ株も少なくない。ソニーは単元株を買うのに140万円以上するし、ファーストリテイリングは400万円だ。
1月になって私自身が購入したものと注目している銘柄を紹介しておきたい。
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