更新日:2024年08月19日 13:02
お金

飲食店の倒産が過去最多…すき家、大戸屋の運営元が“逆境下でも業績好調”なワケ

ゼンショーとコロワイドの共通点

 ゼンショーとコロワイドは共にM&Aを積極的に行い、規模を急速に拡大している。ゼンショーは2000年以降、各ジャンルの外食企業の買収を始めている。コロワイドも2012年以降から、「牛角」などを展開するレインズなど外食大手を次々と買収している。  両社とも借入金など他人資本を巧みに活用し、少ない自己資本で最大の利益を目的にROEを向上させている。自己資本の低さから、財務の安定性としては若干の脆弱感は否めないが、早期リターンを求める投資家や株主の期待に応えている。  特にゼンショーはすでにその目的を達成しつつあり、ROEは14.3%と高く、M&Aで買収した外食企業が業績にも貢献してきている。一般的にROEは10%以上であれば良好とされる。ROEは業界によって適正値が異なるが、飲食・サービス業は10%が理想とされ、ゼンショーはその目標値の達成に向け頑張っているようだ。

M&A戦略による多業態戦略で勢いづく2社

すき家

※画像はイメージ

 M&A戦略による多業態戦略で勢いづく2社を分析したい。まずゼンショーは1982年6月設立の外食企業で、すき家、なか卯、ココス、ロッテリア、ビッグボーイ、ジョリーパスタ、はま寿司などが代表ブランドでお客さんの認知度も高い。  グループ店舗数は1万5100店舗(2024年3月末時点)。売上9657億円(2024年3月決算)と1兆円を超すのは時間の問題だ。 売上だけ見ても、2位のマクドナルドに圧倒的な差をつけ、売上2.5倍と突出している巨大外食チェーン企業になっている。  直近も前年に対比して、売上で1858億円増加し、23.8%の売上増と著しく業績を伸ばしており、勢いが如実に実績に表れている。財務状態も、前年(2023年3月期)24.7%だった自己資本比率は、今年(2024年3月期)28.7%に資本が増強されており、ほぼ1000億円純資産を増加させ財務を安定させている。  もちろん買収資金に活用するため、負債も2784億円増加しているが、総資産が前年4695億円に対し、今年は7480億円と2784億円も資産が増えている。決算資料(2024年3月期)から各事業の業績を見ると、各事業の売上構成比はすき家27.5%、はま寿司20.4%、ファストフード25.2%、レストラン14.6%となっている(すべてグローバル含む)。
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すき家、はま寿司を擁するゼンショーHD
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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