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年100軒ペースで増加…“コンビニ化する精神科”の闇。「患者の話を聞くのは5分以内」ノルマを課された医師も

コンビニ化で名医すらヤブ医者になる!?

 精神科のコンビニ化は、マジメに働く医師の心すら変えてしまうようだ。とある精神科を利用したEさんが、受けた対応を憤る。 「ある疾患の分野における権威で、本も出しているからと信頼してF先生を受診したのですが、とにかくひどかった。『時間がないから』と鬼の形相で言われ、ろくに話も聞いてくれず追い出されるかのように数分で診察終了。まるで狂人扱いされているようで、心底がっかりしました」  そこでF医師の言い分を聞いてみると、残念な事実が浮かび上がった。  F医師はクリニックの方針で「患者の話を聞くのは5分以内」と決められており、「数分延長しただけで院長から解雇をチラつかせて注意されるので、雑な対応にならざるを得なかった」と苦渋の色を浮かべる。

“真面目な医師”ほど割を食う未来も

 通常なら初診では1時間以上、再診でも最低30分は患者と対話しているという精神科医のG氏は、コンビニ化したクリニックの弊害を以下のように話す。 「どんな病気であるか診断するためには最初が肝心です。特に精神障害の場合は、正常な心と区別をするための診断基準に則る必要がある。例えば明日までに多額の借金を返済しなければならないとなれば、平常心ではいられないでしょう。ところがコンビニ受診だと、その切羽詰まった様子を見て病気と診断してしまいかねない」  また原井氏も、コンビニクリニックの増加が精神科のイメージ悪化に繋がると懸念する。 「そうした事態が続くと、診療報酬も下げられかねない。そうなると真面目に診療している医師たちは、アホらしくなって辞めてしまうかもしれません」  コンビニ化したメンタルクリニックの存在は、医師の質をさらに悪化させる危険性も孕んでいる。 【精神科医・原井宏明氏】 原井クリニック院長。精神科専門医、指導医、精神科保険指定医。著書に『「不安症」でもだいじょうぶ』(さくら舎)など 取材・文/週刊SPA!編集部
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