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満員電車は“地獄絵図”、もたれかかってくる人たちにヤンキーが激怒して「心の中で“ありがとう”と言いました」

僅かな隙間をこじ開けて座るビジネスマンに唖然

電車営業職に就いていた加藤信之さん(仮名・50代)は、毎日電車で通勤し、行きも帰りも満員電車に揺られていた。 いつものように通勤ラッシュのある朝、ぎゅうぎゅう詰めの車内で自立することも困難だった。そんな中、ある駅で1人の男性が乗り込んできたという。 「年齢は50代くらいの人相の悪いビジネスマンで、威圧的な雰囲気を漂わせていました」 その男性は、吊革につかまる加藤さんを押し退け、目の前の僅かしか空いていないスペースを無理矢理こじ開けて座った。 「私も周りの人たちも迷惑そうにその男性を見つめていました。ただ、もしかしたらこの男性は怪我をしていて、どうしても座りたい理由があるのだろうと、自分に言い聞かせながらそのときを過ごしました」 しかし、加藤さんの良心からくる想像は、この男性にことごとく打ち砕かれるのだった。

居ても立っても居られず注意すると…車内は拍手喝采

「私の目の前に座った男性は、隣に座る若い女性に寄りかかって眠ってしまったんです。逃げ場のない女性は身体を揺らしながら男性を起こそうと必死でしたが、一向に起きません。彼女は半分涙目になりながら困り果てていたので、あまり関わりたくなかったですが、私は男性を起こし、彼女が迷惑している旨を伝えました」 すると男性は加藤さんに対して舌打ちをし、「お前には関係ないだろ!」と言い放ったのだとか。 車内は不穏な空気に包まれたが、加藤さんの怒りは収まらなかった。男性が降りる際、加藤さんは改めて……。 「あなたはこれだけ周りに迷惑をかけ恥ずかしいと思わないのですか? もしそうなら、これからでも遅くないので、人に対する思いやりを日夜勉強してください」と告げたという。 車内では、どこからともなく拍手が起きていた。その男性は、何も言葉を発することなく恥ずかしそうに降りていった。 「とくに朝の通勤時間帯は多くの人がストレスを感じながら乗車していますが、それを他人にぶつけるのは筋違いです。いろいろな状況や気分で電車に乗っている人がいることを念頭に置き、思いやりと労わりの気持ちを持ち続けることがとても大切だと改めて感じました」 電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。 <取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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