「読モ」の進化が、経済に多大な影響を及ぼす!?
’00年代初期に火がついた読モブーム。とどまるところを知らぬ増殖・進化の背景を定量的に分析してみた!
◆読モの進化が驚異の影響力を持ち、経済を乗っ取る!?
増加が止まらない読モ。そもそも本来の定義はなんなのか?
「本来、雑誌に登場するが事務所には所属していないギャラ手渡しのコのことを言っていました」
そう語るのは、ファッションビジネスを研究する中村仁氏。しかし最近では事務所に所属するコも。本来の定義とズレが生まれているがどういうことなのか。
「今でいう読モは、普通の顔や体形で『私にも似合うかもしれない』と、思わせてくれる存在を読モと呼んでいるようです」
ちなみにギャラは一回の撮影につき数千円というのが相場。
「とはいえ、本人たちは、お金よりも媒体に載ることのほうが重要。なかには自身のブランドを作るためのステップと考えるコもいる」
21歳で「AnK Rouge」を立ち上げた松岡里英さんもその一人。読モからブランドのディレクターになった憧れの存在で、自身のブログは一日80万PVを超える。読モにとってブログは重要なツールで、そこから編集部に見いだされる読モも多い。
「PVを見るだけでどれだけ人気があるか一発でわかる。一日5万PVの読モを、誌面に5人出すだけで、単純に考えて25万人に影響すると予想できますからね」
企業側にとっても、メリットは大きい。読モを集めて行う品評会で、彼女たちの意見からヒット商品が生まれる例も少なくない。読モが及ぼす経済効果について、シニア経営コンサルタントの川原慎也氏は次のように語る。
「消費者の目が明らかに肥えてきていて、今はそれに見合ったものじゃないと売れない。必然的に身近で一番目が肥えている人、つまり読モのブログをチェックして良い物を取り入れる人が多い。悪い商品の情報も広まりますが、貴重な意見として吸い上げています」
こうした流れから、新たに誕生したビジネスも。
「読モと企業を繋げるための仕事が生まれました。女性の気持ちがわかって、かつ流行にも敏感な人。今後、このポジションを担う人が、もっと増えていくのでは」
読モたちの間ではやったものが、1年以上たって、ようやく市場に出回るケースもあるという。
「今はまだ、企業が後追いで売り出しても間に合いますが、今後は自ら情報を編集して、発信できる読モが出てくるのではないかと。今のような、彼女たちの感性を、企業がカタチにするというシステムが逆転して、自分たちだけで『これイケるよ』と作った企画を、会社が買うようになったりしそうです。そうなると読モという括りではもう収まらないでしょうね」
読モの進化は加速していき、予想もしない変化を遂げるのかも。
【川原慎也氏】
船井総合研究所、シニア経営コンサルタントとして、大手企業中心に、事業戦略の構築や課題解決の支援をしている。ダイヤモンドオンラインで執筆活動も
【中村 仁氏】
東京大学大学院情報学環特任講師、文化女子大学文化ファッション研究機構共同研究員。現代の若者のファッションや、流行に関する研究論文を発表している
取材・文・撮影/青山由佳 中村未来(清談社) 藤村はるな 福田 悠 八木康晴(本誌)
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