食虫植物マニアの家は実は虫が多い
―[ニッチな世界の[あるある]大全]―
最近ちょっとしたブームの“あるある”本。いろんなジャンルがあるけれど、もう普通の“あるある”じゃ満足できん! てなわけで、さらにニッチな“あるある”が大集合。知らない世界を覗き見しつつ、共感しようにも共感しづらいビミョーな感覚をご堪能あれ!
◆食虫植物マニアあるある
「我々は普通の園芸好きと変わらないと思ってるんですけど、周りからは珍しがられますね」と苦笑するのは日本食虫植物愛好会の設立者・田辺直樹さん。自宅は約3000株の食虫植物に囲まれている。
「よく言われるのは『毎日エサあげてるんでしょ、大変だね』。いやいや、水と肥料はあげますけど、エサはあげませんから。食虫植物といっても主なエネルギー源は光合成で、虫はサプリメントみたいなもの。栄養分の少ない土地に生えているから虫を“補助食品”にするよう進化しただけ。その結果として行き着いた変わった形が好きなんです。だから、実は虫を捕るところなんかどうでもいい」
虫が中に入るとパクッと閉じるハエトリソウはいかにも食虫植物という感じだが、「本当のマニアはいじらない」という。
「いじると動くので子供なんかは喜んでいじりますが、エサもないのにパクッといく“カラ運動”はエネルギーだけ消費する。そんなことやってると3日で枯れます」
湿地に生えているものが多いので乾燥も大敵。田辺さん宅では植木鉢の受け皿にたっぷり水を入れて、タイマーで一日1~2回給水するようにしてある。が、それだけ水があるということは……。
「夏とか蚊がすごいんですよ。『お宅は食虫植物いっぱいだから虫がいなくていいわね』とか言われるんだけど真逆。しかも食虫植物って虫を誘うフェロモンみたいなのを出してて、いっぱい虫が飛んでくる。その割に大して捕虫能力はないという。夏の庭仕事はスキンガードと殺虫剤が欠かせません」って、まさに痛し痒しですな。
― ニッチな世界の[あるある]大全【8】 ―
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