「特製コオロギラーメン」を食べてみた。ラーメン凪と昆虫食伝道師がコラボ
みなさんは地球少年・篠原祐太さんをご存知だろうか?
4歳から昆虫食を続け、4万匹の生物と自宅で同棲中の、現役の慶応大学生である。昆虫食啓蒙家として活躍する彼が、満を持して開発したのがこの「特製コオロギラーメン」だ。
今回は煮干しラーメンで人気の「ラーメン凪」とのコラボ商品、限定100食と聞いて系列の『煮干しうどんFishmen』へ食べに行ってみた。すでに行列ができており、若い女性の姿も。並びながら何度か帰ろうかと心細くなったが、ついに順番がきてしまった……。
「コオロギラーメンください」
さあ、どこからどう見てもコオロギ。目をそらしたくなる程に完璧にコオロギである。先日、娘が原っぱで見つけてつかまえていたっけ。
震える手でまずは素揚げにしたコオロギトッピングを口に入れる。シャリっとエビに近い歯触りとコク。苦みはない。
「あれ? 意外と美味しい?」
目を瞑って食べればスナック感覚でいくつでも食べられそうだ。完成体を食べ切った自信から一気にスープ、麺へと食べ進める。スープは塩味なのに真っ黒。これはコオロギの色素が溶け出しているらしい。甲殻類系の香ばしい、旨味の濃いスープによく絡む中太の麺。合間にはさむ素揚げコオロギと絶妙のバランスで一気に食べ切る事ができた。
⇒【写真】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=933278
一食になんと、コオロギ約900匹が使われているという。スープには乾燥コオロギ、素揚げ用に生コオロギと高額な原材料を惜しげも無く使い今回の奥深い味が実現している。当然原価割れ。1日100食限りの、まさに幻のラーメンである。完食後、篠原さんに話を聞いてみた。
「もともとラーメンは好きで、中でも凪さんの煮干しラーメンが大好きだったんです。コオロギと煮干しの味は似ているし、ラーメンにしても喧嘩しないんじゃないか? とずっと思っていました。Twitterで凪さんに行って来たと呟いたらなんと凪の社長さんが返信をくれて、『一緒に面白い事してみよう!』とトントン拍子に今回の企画が決まりました」
それにしても、飲食店にとっての昆虫食には敬遠する向きやリスクもあるのでは? 凪の社長・生田智志さんに単刀直入に聞いてみた。
「もちろん篠原君への信頼はありますが……それよりはやっぱり味です。味が良い。それが一番の決め手でした。何より、面白い事を企画するのが好きなんですよ」
昆虫食については知り尽くしている篠原さん。今回のラーメンコラボにコオロギを選んだ理由は?
「まずは、味が良いです。嫌味がなく食べやすい、それでいて強い旨味もある。ラーメンとの相性も良いと考えました。また、コオロギはタンパク質を筆頭に、ビタミン・ミネラルなどの栄養も豊富とされています」(篠原さん)
――今後、他の虫や食材とのコラボも有り得ますか?
「まずは今回のラーメンからですが、お客さんや周囲の反応を見ながら徐々に展開していくつもりです。他のコラボも考えています。バッタや蝉の素揚げなんかも非常に美味しいんです。エビに似た味でビールにも合いますよ。今回は1日限りでしたが、今後もあらゆる可能性を否定せず取り組んでゆきます。新しいアイデアにも積極的に挑みたい。何かあれば気軽に僕の方に連絡して下さい。いつでもお待ちしております!」(同)
――どうしても、虫に拒絶反応がある人は多い。篠原さんへの誹謗中傷も多いと聞きます。その中で昆虫食を推し進め、ラーメンにまで昇華させてしまうエネルギーはどこから来るんですか?
「虫が嫌いな人っていっぱい居ますよね。僕は虫を愛しているんです。最近よく言われている、食料危機の解決策としての昆虫食、という側面も最終的にはありえますが、まずは虫への嫌悪感を無くしてもらいたいし、虫は気持ち悪いという先入観を取っ払ってほしい。虫を食べる事によって、虫と正面から向き合うことができると思います。また、食や命という生きる上で根本的に大切なテーマについて考えるきっかけにもなると考えています。そう考えると、国民食のラーメンはうってつけでした。ラーメンが好きな人は多い。間口が広いラーメンとコラボすることで虫へのハードルは下がると直感がありました。まずは、面白そう、食べてみよう、と気軽に挑戦してみてほしいですね。味は保障しますので!」(同)
さて、意外と美味しいコオロギラーメンを食べ終えてしばし放心する。食べる前には確実にあった嫌悪感はなくなっている。そもそも何故嫌悪感があったのだろう?食べられるもの、食べてはいけないもの、そのラインを引いたのはどこの誰だっただろう? そもそもそんなラインがあるのだろうか? 一食のラーメンから、世界中の食文化まで思いを馳せる。席を立ち、店員さんに「ごちそうさまでした」と言うと「新しい扉が開きましたね!」と笑顔で返してくれた。
<取材・文・写真/土居麻紀子>
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