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働きアリの生態はサラリーマン社会に酷似していた。超絶ブラック企業の種も存在

ハキリアリの行進3

ハキリアリ

働くアリは「2:6:2」の法則ってホント?

 マネジメント論やチームづくりを語るときに引き合いに出される「働きアリの法則」。  もう聞き飽きた感もあるだろうが、念のため解説しておくと……よく働くアリとそこそこ普通に働くアリとまったく働かないアリの割合は「2:6:2」。よく働くアリだけを集めても、あるいは、まったく働かないアリだけを集めても、やはり「2:6:2」の割合に分かれる。  結果、「よく働く2割だけでは組織はもたない。適材適所が大切だ」だの、「下2割の意欲を上げる評価を」だの「60%の普通のメンバーを底上げすることで全体の組織能力が改善する」だの語られる。あるいは逆に、「2割のサボる社員も組織には必要なんだ!」と開き直ってみたり。  なんだか、ときと場合によっていいように使われているが、これってホントなの? 「2:6:2という『働きアリの法則』は北海道大学の長谷川英佑博士が『シワクシケアリ』の行動観察によって明らかにしたものです。ただ、シワクシケアリはアリの中でも極めて普通な種で、すべてのアリがこの法則に当てはまるかというと決してそうではありません。じつは、アリの働き方もいろいろなんです」  そう話すのは、九州大学持続可能な社会のための決断科学センター准教授で、「アリ先生」の異名を取る村上貴弘氏だ。 「たとえば、キノコを育てるアリとして知られる『ハキリアリ』の働きアリは、ほぼ100%が働いています。観察していると1~2%働かないアリがいるのですが、それは蛹から出たばかりの若い個体で働けないだけ。森から葉っぱを切り出し、巣に運び細かくしてキノコ畑に埋め込んでといった農作業から、女王や幼虫の世話、巣の掃除に防衛など、30を超える労働をみんなで分業しているんです」
ハキリアリの行進1

巣に葉っぱを運ぶハキリアリ

ハキリアリのキノコ畑

ハキリアリのキノコ畑

 村上先生によると、ハキリアリそれぞれが担当する仕事は個体ごとに決まっていて(遺伝が関与しているのだとか)、完全に分業されているのだそう。しかも、たとえば「葉を集める」という仕事を「枝から切り落とす係」と「巣に運ぶ係」とワークシェアリングするなど、その働き方はとても効率的だ。 「驚くほどシステマチックなハキリアリの労働ですが、15分おきにごく短時間、休憩をとるだけ。24時間体制でほとんど休むことなく働いています。自分たちが育てたキノコは女王と幼虫のもので、働きアリは葉っぱを切っているときに滲み出る汁をちょこっと食べる程度。その寿命はわずか3か月です。一方で女王アリの寿命は最長20年。ずいぶん、不平等な感じがしますが、結果、ハキリアリの社会は複雑に進化し、数百万の個体が生息する巨大なコロニーを築くようになったんです」
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働きアリごとに異なる働き方
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アリ語で寝言を言いました

熱帯の森を這いずり回り60回以上ヒアリに刺されまくった「アリ先生」による驚愕のアリの世界!一生巣の“扉”役、一生天井からぶら下がっている“貯蓄”役など究極の役割分担社会に進化した。
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