更新日:2017年11月14日 14:50
恋愛・結婚

オヤジは野暮ったいファッションでもモテる!?

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その4 ―

 新しいジイさん向けのライフスタイル雑誌が創刊されるそうだ。「MADURO」(マデュロ)という名で、3月に発売された創刊準備号はセブン&アイ出版が発売元となるそうだ。
MADURO

3月に創刊準備号が発売された「MADURO」

 セブングループが発売するんだから、老人向けの趣味雑誌と思いきや、なんと同じジジイと言っても、高級外車に乗って、愛人がいるような、イケてるジジイを目指すそうで、そんなにたくさん読者がいるかは、はなはだ疑問である。  雑誌の名の「MADURO」は、スペイン語で「成熟した」という意味なそうだ。編集長は岸田一郎さん。あの「レオン」の創刊編集長といえば、納得する人もいるであろう。レオンの頃は、40代のイケてるオヤジが主流で、そのおっさんが60歳あたりになって、まだ懲りずに若い姉ちゃんのケツを追いかけるという構図らしい。  部数は4~5万部なそうで、実売は2~3万部かなと。そんなんで採算がとれるのかと思うが、案外広告が入ればペイできると思う。  私は高級外車ディーラーの広報誌の仕事をさしてもらっている。そこで聞いた話だが、大手不動産会社が億ションの販売広告を出したら、なんと見事1件問い合わせが来て売れたそうだ。それでもう広告の役目は終了、むしろクライアントに感謝されたそうだ。  つまり、100円のものを100万個売るなら、1億円のものを1個売れば、売り上げ高は同じになる。レオン全盛の頃、雑誌で六本木の高級カラオケ店を紹介したら、あっという間に数万円もする一番高い部屋が予約で埋まったという。そういう高い単価の少数精鋭商売が、まだかろうじて成り立つかもしれない。  だから、部数はあった方がいいが、広告に対するレスポンスがあれば、それで充分ペイできるのではないか。この出版不況の最中、新しい雑誌を創刊するのだから、その意気込みだけでも素晴らしい。まずはお手並み拝見ですね。  せっかくジジイ雑誌の話題が出たので「オヤ充」との比較をしてみたい。マデュロでは、イケテるジジイを、やんちゃなジジイということで「ヤンジイ」と表現している。「オヤ充」と「ヤンジイ」、どちらも若い女を口説くのがコンセプトで、似てなくもない。でも実は似て非なるものである。  レオンやマデュロは、オヤジ向け雑誌で、基本はファッション誌である。オヤ充はファッション否定派だから、そういう分野は相容れない。世の中で一番見苦しいものを教えましょうか。それは高級外車のしかもオープンカーに乗って、しかもイタリア製のスーツとか着て、連れてる女が全然可愛くない場合。お前、カネのかけ方が違うだろう~。  たとえ車に乗らず、身なりはユニクロ野郎でも、すっげえ可愛い女を連れていれば、それは人生の勝者なのである。 「男のファッションは連れている女のレベルで決まる」  だから男の身なりとしては、連れている彼女が一層輝くように、野暮ったいほうがいい。彼女に「なんでいつも安い服ばっかり着ているの?」と聞かれたら、「それはキミの美しさが、倍輝くためだよ」と、言ってあげようではないか。  正直言って、そりゃオープンカーも高級腕時計も欲しいさ。でも人間欲を言えばキリがない。現実としては無理な話だ。でも若い女がそばにいれば、案外それが「オヤ充」として満足になり、50歳過ぎても「リア充」になれる。マデュロの考えはまさしく正攻法だ。まず金を稼いで、くるまや時計、服などの男の武器を揃えて、それから女を仕留めろ、と。  こっちはそんな財力はないから、ゲリラ戦で行く。昔、真田幸村が大阪夏の陣で語った有名な言葉がある。 「狙うは徳川家康の首ひとつのみ」  オヤ充としては、服も小物もワインも外車もあれこれ狙わない。 「狙うは若いおなごのパンツの中のみ」  ということで、みなさんよろしいでしょうか。  現実的は、ジーパンにTシャツばかりとはいかないので、ZARAやH&Mあたりの服を適当に買って着ていれば、充分それでオーケー。だいたいもっと高い服を着て、女のコに会ってみなさい。 「いいなあ、私にもそれ買って」となりますよ。
木村和久

木村和久

 女性から見たら一番いい男は「高い服を着こなす男が、女のコに高い服を買ってくれる」場合であるが、これは現実的に無理。そうなると残りはふたつしかない。「高い服を着ているが、女のコには服を買ってあげない男」か、「安い服を着ているが、女のコに服を買ってあげる男」のいずれかだ。  答えは明瞭だ。女は服を買ってくれる男が大好きだ。我々は少ない資本をどこに投下すべきなのか、よく考えてみようではないか。 ■木村和久(きむらかずひさ)■ トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
MADURO (マデュロ) 2014年 05月号

50~60代の富裕層向けシニアライフスタイル誌

おすすめ記事