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「私服がない・友達いない・趣味がない」三重苦おじさんの行く末

バブル経済に沸いた40代男性=オジサンと、デフレ不況を粛々と生きる今のオジサン。実際はどちらが幸せなのだろうか。さまざまなデータを基に、この30年間で中年男がどう変化したのか追った。

オジサンの私服はなぜ変なのか

 仕事や家庭以外でのオジサンには、30年でどんな変化があったのか。男性学の研究者・田中俊之氏は「オジサンを取り巻く社会は大きく変わりましたがオジサンは基本的に変わっていません」と語る。 サラリーマン 「オジサンは社会にとって『働いてさえいればいい存在』で、本人たちもそう思っていました。そのため大半のオジサンは今も昔も趣味がなく、友達もいません。バブルの頃はゴルフが流行しましたが、サラリーマンのゴルフは接待要素が強く、趣味として楽しんでいた人は少数。NHKの『国民生活時間調査』でも、’05年以降の40代男性が趣味に費やす時間は平日で約15分。土日も40分~1時間です」  そして「オジサンには私服という概念もない」と田中氏は続ける。 「’80年代は労働時間が長く、仕事が週休2日になったのも’90年代から。仕事ばかりしていたオジサンには私服の概念もなく、流行もありませんでした。’00年代半ばには『ちょいワルオヤジ』もブームになりましたが、その流行に乗ったのはごく一部。また男性の趣味嗜好の変化は社会人になると止まりがち。若い頃からファッションが変わらない人が大半だと思います」 『おじさん図鑑』などの著書があり、長年オジサンの生態をウォッチしてきたイラストレーター・なかむらるみ氏も次のように話す。 「夏に半ズボンをはいても、革靴で靴下は長かったりと、『本当に仕事ばかりの人なんだなぁ』と思う服装の人は多いですね。ゴルフ用のポロシャツの人もよく見かけます」
オジサン3大典型

<オジサン3大典型・私服がない>スーツ時に着用する革靴や靴下をハーフパンツに合わせてはく人も。「全身ユニクロよりも個性的でいいですよね。謎のブランドのハイテクスニーカーも定番です」(なかむら氏)

 そんなオジサンの「私服と言えぬ私服」も、時代に応じて実は少しだけ変わってきた。 「ラフでカジュアルになったような気がします。昔は、ちょっとした外出にもジャケットを羽織り、タックの入ったズボンをはいていたのが、最近はTシャツとジーパンの人が目立ちます。シャツも柄物が減り、ユニクロの無地のものを着る人が増えました」(なかむら氏)
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これからのオジサンは趣味なし友達なしでは生きづらい
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