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綾野剛に北川景子が大爆発『パンク侍、斬られて候』奇才・石井岳龍監督インタビュー

 6月30日から公開される石井岳龍監督、宮藤官九郎脚本、綾野剛主演の映画『パンク侍、斬られて候』。町田康の同名小説を原作に、主人公の浪人・掛(かけ)十之進(綾野)が、黒和藩の重臣・内藤帯刀(豊川悦司)から新興宗教「腹ふり党」の復活を捏造することを命じられたのをきっかけに、ストーリーは急転直下。最後まで結末がどうなるかわからない、前代未聞の“パンク時代劇”だ。

『パンク侍、斬られて候』6月30日(土)より爆夏ロードショー!監督:石井岳龍 脚本:宮藤官九郎 出演:綾野剛 北川景子 東出昌大 染谷将太/浅野忠信/永瀬正敏/國村隼 豊川悦司ほか 配給/東映 ©エイベックス通信放送

主役クラスの名俳優がズラリ

 今年61歳の石井岳龍監督は、かつて“石井聰亙”の名で『高校大パニック』(’78年)『狂い咲きサンダーロード』(’80年)『爆裂都市 BURST CITY』(’82年)と、20代で立て続けに衝撃作を発表。その後、’10年に“岳龍”に改名。近年は『生きてるものはいないのか』(’12年)『ソレダケ/that’s it』(’15年)、『蜜のあわれ』(’16年)など、不条理への叫びを描き、世に送り出してきた。
石井岳龍監督

石井岳龍

「原作は10年以上前のものだけど、今読んでも全然、古びていない。まさに今、世の中がこうなっている感じがしますね。物語は綾野くん演じる掛が導火線に火をつけたことで、いろいろな爆弾が爆発していく。それがうまい具合に次から次へと新たな、そして大きな爆弾へとつながっていく。宮藤くんの脚本のおかげで、一見めちゃくちゃだけど、物語はしっかり構築されていると思います」  作品では主演の綾野をはじめ、北川景子、東出昌大、染谷将太といった若手から、浅野忠信、永瀬正敏、村上淳ら実力派、さらには国村隼、豊川悦司のベテランまで、映画やドラマの主役クラスの俳優たちが勢ぞろいしている。 「登場人物がとにかくたくさんいて、それぞれが主役みたいなものですから、普通の映画の3本分くらいのボリュームを毎日撮っていたような感覚でした。誰の視点で見るかによって楽しみ方も変わってくるし、監督本人でも見るたびに発見があります」

“時代劇”ながら、まるで狂った現代社会のよう

 ストーリーに目を移すと、自分の意志を持たない庶民が心酔する「腹ふり党」や、正論しか吐かず融通がきかないバカ殿様、それにただ振り回される家臣など、今から14年前に書かれた原作にもかかわらず、まるで現代社会を予見しているような内容に驚かされる。 「そこはまさに原作と脚本の面白さ。ネーミングもセリフもすごく独特な言葉遣いで妙なグルーヴがあって笑えるし、自分を天才だと思っている掛みたいなダメフリーターもいますよね。『ひょっとしてこれ、自分のこと?』みたいな感覚に襲われる。加えて、つくる側として結果が見えているものは面白くない。それは決してめちゃくちゃにするという意味ではなく、自分が予想できる程度の面白さではつまらない、ということです」
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「30歳すぎたらもう余生」と思って常に必死だった
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『パンク侍、斬られて候』6月30日(土)より爆夏ロードショー!
監督:石井岳龍
脚本:宮藤官九郎
出演:綾野剛 北川景子 東出昌大 染谷将太/浅野忠信/永瀬正敏/國村隼 豊川悦司ほか
配給/東映 ©エイベックス通信放送

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