大王製紙・井川氏 マカオでヒルズ族とプレイしていた
106億8000万円――。大王製紙の創業家出身、井川意高前会長(47)が、2010年5月~11年9月の間に子会社から無担保で借りたカネの総額である。その額もさることながら、使い道のほとんどがカジノだったということから、にわかに世間の注目を集める事件となっている。
ちなみに、大卒サラリーマンの生涯賃金の平均額は約2億5000万円。サラリーマン40人が束になって一生かけても稼げない大金を、井川氏はわずか1年半弱でカジノに飲み込まれてしまった。いったい、どんな博奕の打ち方をしていたのだろうか。日刊SPA!にてカジノ小説『ばくち打ち』(https://nikkan-spa.jp/bakuchi)を連載中で、井川氏が主戦場としていたマカオのカジノに精通する作家・森巣博氏に、詳しい話を聞いた。
「カジノのなかでも、借金がこれだけ膨らむゲームは『バカラ』以外に考えられないですね。発表によると、今年3月末の時点では、井川氏の借金は“まだ”23億5000万円だった。実はそのとき、彼にカネを貸しつけていた子会社が『もう首が回らん』ということで、井川氏の父親で前顧問の高雄氏に泣きついて、井川氏にご注進してもらったんですね。すると井川氏はどうしたか――。博奕で負けた23億5000万円を、博奕で、しかも借りたカネで取り返そうとしたんですな。私に言わせれば、これはまるで博奕の打ち方を知らん(苦笑)。借りたカネで打っちゃあ、絶対駄目なんです。『すでに失ったカネ』と『借りてきたカネ』の2重のプレッシャーに押しつぶされて、勝つことなんてまずできない。それで負けるたびに取り返そう、取り返そうとカネを借りてはつぎ込んだ結果、4~9月で一気に100億円を突破しちゃった、という訳ですな」
井川氏がマカオのハイローラー(多額を持ち込み、ベットする上客)たちの間でも有名な存在になったのは、2008年ごろからだという。
「今、マカオのカジノは日本人ハイローラーに人気なんです。韓国のプレイヤーにはヤクザの人間も多いから、日本人プレイヤーの特に経営者なんかはあまり近寄りたがらない。それに、韓国のカジノはVIPルームでもMAXベット(一手に張れる最大額)が500万円程度と低いのに対し、マカオには一手1億円までOKというところもあり、ドカンと賭けられる。マカオの某カジノのプレミアムフロア(カジノハウス直営のVIPルーム)では、ヒルズ族のIT社長たちと一緒に卓を囲むことも多かったと聞いています」(森巣氏)
※【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/83041
「子会社から借り入れたカネを中国経由でマカオに送金していた」の真偽は?
取材・文/さかあがり
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