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元ゲーセン店員が明かすクレーンゲーム“設定”の秘密。いくら使うと取れる?

 ゲームセンターで最も人気が高く、そして売上も高いゲーム機は「クレーンゲーム」である。数百円でぬいぐるみやお菓子のなどの景品が獲得できるかもしれないというワクワクや、ゲーム機を操作し景品を狙う楽しみにハマっている方も多いと思う。
ゲームセンター

※画像はイメージです。以下同

 このクレーンゲーム機には“設定”があることをご存知だろうか。配置の方法が異なるだけではなく、実は細かな“設定”を変更することができる(子どもが何度も挑戦して取れなかったときに、見かねた店員が近づいてきて、色々といじっている場面に遭遇したことがある人もいるかも知れない)。そして、原価率を調整しているのである。

クレーンゲームは「稼働範囲」と「アームの強さ」が変えられる

 クレーンゲーム機といえば、ひと昔前はぬいぐるみなどの景品をアームで「つかんで落とし口まで持ってくるもの」だと思われていた。しかし、近年ゲームセンターでクレーンゲームを遊んだ方であれば、あのアームには「つかむ」ほどの力がないことに気が付いたのではないだろうか。  元ゲームセンター店員の白石さん(仮名・35歳)は語る。 「実は一般的なクレーンゲーム機はアームのつかむ強さ、そして可動範囲を設定できるようになっています。近年、細かくさまざまな設定ができるようにクレーンゲーム機も進化していますが、これらを変更することで原価率を調整していました」  可動範囲とは、アームが動くことのできる左右・奥ゆきの範囲で、クレーンゲーム機内での動きを制限することで難易度を調整したりするそうだ。そして、アームのつかむ強さの強弱を調整することで「取れそうで取れない」ぎりぎりのラインを調整しているという。

「3000円以上使えば取れる」設定ができるものも……

 ゲームセンターも、100円でどんどん景品を取られてしまっては商売にならない。しかし、全く取れないクレーンゲーム機で遊ぶバカもいない。そこで、つい100円玉を次々と入れてしまいたくなる「取れそうで取れない」ラインを狙ってゲーム機の設定をするのが景品担当者の仕事。  しかしこれは、マニュアルのように数値で管理できるものではなく、担当者が何度も何度も動きを確認して「だいたいこの動きをすれば取れそうで取れない設定になる」といったラインを見つけ出す職人技なのだ。  当然、同じ置き方をしたとしても、景品の大きさや重さ・重心の位置などによってその取れやすさは変わってくる。 「でも最近はどんどん高性能なクレーンゲーム機が登場してきて、『3000円以上課金したタイミングで、急にアームのつかむ力が強くなって景品が獲得できる』という設定ができるものもあるんです。もちろん、同じ人が3000円以上課金したかなんて機械にはわかりませんから、2900円使ったところで諦めた人の次に100円玉を入れた人が1発で取れてしまう、なんてことも起こりうるわけですが」  それにしても、なぜ3000円で取れるようになるのだろうか? ぬいぐるみ1つに対して高すぎる気もするが……。 「多くのゲームセンターでは、原価率を25%~30%前後を目指していることが多いのです。景品の仕入れ値は市販価格で800円以下と全日本アミューズメント施設営業者協会連合会が定めていますから、どうしても3000円くらいで景品1個が取れる、としなければ採算が合わないのです」
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人気すぎる景品は…
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インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA

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