更新日:2023年05月18日 16:53
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新型コロナウイルスを巡って「デマと差別」が横行

とうとうWHOが「緊急事態宣言」を発動!

 1月30日、WHO(世界保健機関)は、世界中で猛威を振るっている中国・武漢発の新型コロナウイルスについて、国際的な公衆衛生上の緊急事態に当たると宣言した。政府はすでに新型ウイルスによって引き起こされる肺炎などの疾病を「指定感染症」と定めていたが、今回の緊急事態宣言を受け、2月1日から前倒しで運用を開始。今後、感染の疑いがあっても勧告に従わない患者に対して、「強制入院」などの措置も取れるようになるという。 新型コロナウイルス だが、この対応は遅きに失したと言わざるを得ないだろう……。  先週、ウイルスの「発生源」とされている武漢からチャーター便で帰国した日本人は、29日着の第一便が206人、30日着の第二便が210人、31日着の第三便が149人。このうち遺伝子検査で陽性反応が出たのは一、二便の計5人で、うち4人は症状がまったく出ない「不顕性感染」だったことが確認されている(1月31日時点)。  発熱や咳などの兆候がない“ウイルス・キャリア”(運び屋)が感染拡大を加速させていたとなると厄介な話だが、今回の武漢滞在の日本人救済措置を巡って何より問題だったのは、第一便で帰国した人のうち、ウイルス検査に同意せず帰宅した搭乗者が2人いたことや(後に検査を希望)、一時収容先のホテルで一部の帰国者が「相部屋」となっていた点だ。  渡航医学にも精通するナビタスクリニック理事長・久住英二氏が話す。 「今回、政府はチャーター便を飛ばして邦人保護に乗り出したが、これは感染者を入国させる行為に等しいですから、当然、感染の疑いのあるすべての人を対象に検査を強制できるような仕組みをつくったうえで連れて帰ってくるべきだった。  だが、結果として指定感染症の運用が間に合わず、帰国者の2人に検査を拒否されたうえ、厚労省は感染の疑いが拭えない帰国者を滞在先のホテルで『相部屋』にさせるという、あり得ない失態も犯している。  今回の新型ウイルスの怖さは、SARS(重症急性呼吸器症候群)と違い発症前に感染するところ。誰からうつされるのかわからないので、人々は疑心暗鬼になりやすく、いかに正しい情報を得るかが重要になってくる」

デマやフェイクニュースが拡散

 ’03年に流行したSARSのときは、「緑豆のスープを飲めば予防になる」「爆竹を鳴らすと感染しない」といったデマが中国国内で広がったが、今回もおびただしいデマやフェイクニュースが飛び交っている。 「ドライヤーで熱風を当てるとウイルスは死ぬ」 「バナナを食べると感染する」 「アルコールを全身に浴びると消毒効果がある」 「イチゴを食べると予防になる」 「ゴマ油を鼻の下に塗ると効果的」 など、数え上げたらキリがないが、この手の事実に基づかない情報がSNSを中心に日々垂れ流されているという。  上海の東和クリニックで中医内科医を務め、上海甘霖健康相談所所長でもある藤田庸介氏が話す。 「デマやフェイクニュースは主に微信(ウィーチャット)で爆発的に拡散しています。新型肺炎が流行したことで、今、中国人は遊びにも仕事にも行けず、家でゴロゴロするしかなく、テレビを観るかスマホをいじるくらいしかすることがない……。  外界から隔絶された不安ななか、唯一繫がれるのがネットなので、SNSの投稿が激増していますが、その大部分は新型肺炎に関連するもの。当然、中国政府もデマが拡散しないよう即座に削除したり、誤情報のリストを政府系新聞に掲載するなどあらゆる手を尽くしているが、追いついていない印象です。  SNSがなかったSARSの頃とは違い、今はデマを利用してひと儲けを目論む輩もいる。マスクを法外な値段で売っているのもその典型です」  マスクが品薄状態となっているため、法外な値段で売りつける薬局が批判に晒されていたが、その後、使用済みマスクを拾い集めて販売するツワモノも登場……。SNS上では、感染拡大を防ぐために一度使ったマスクはハサミなどで切ってから破棄するよう呼びかける動きが広まっている。藤田氏が続ける。 「春節で工場が操業してなかったため、マスク不足に拍車が掛かっており、マスクの代用として、大きなビニール袋を頭からかぶったり、特大のペットボトルを半分に切って、ヘルメット代わりにしている人も多い。  今、ウイルス発信源の『武漢帰省人員』は不当な差別を受けており、武漢出身の高齢者をほうきで出ていけと追い回したり、集合住宅でこの部屋の住人は武漢出身と喧伝する動画も拡散されている。『ここ半年は武漢に行っていない』と貼り紙をした武漢ナンバーのクルマの写真がSNSで出回っているが、こうしたことをせざるを得ないのは、武漢ナンバーのクルマへの給油を拒否するガソリンスタンドがあるから。  河北省では、武漢市を往来する人の情報を提供すると奨励金も出しています」  藤田氏の言うように「武漢帰省人員」はいわれのない迫害を受けている。SNS上にも、春節で実家に帰省した人たちが「帰ってくるな!」と親戚から追い返される動画がいくつもアップされているが、なかには、家の玄関に「武漢帰省人員が住む家」と書かれた赤紙が貼られ、鉄の棒で扉を封鎖される家もあるほどだ。
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日本でも中国人に対する差別が…
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