日本製の薬品がエボラパニックの救世主になる?
エボラ出血熱やデング熱のニュースで感染症への危機感が高まる昨今。実はわれわれ日本人の身近なところにも、多くの感染症が存在する!!
◆日本製の薬品がエボラパニックの救世主になる?
西アフリカでのエボラ出血熱の流行はとどまるところを知らず、死者数はすでに4か国で1000人を超えた。そこで注目され始めているのが、富士フイルムグループの子会社・富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬・アビガンだ。医療業界に詳しいジャーナリストの村上和巳氏はこう解説する。
「アビガンは、インフルエンザウイルスの増殖に必要な酵素の働きを抑える薬です。動物実験レベルではエボラウイルスでも同様の働きを見せることがわかっています」
この薬が注目される理由は、効果以外にもあるという。
「通常の錠剤で、大量生産が比較的容易だという点です。米国などで開発中のエボラ出血熱治療薬は、多くが高度なバイオテクノロジーを利用した複雑な工程を経て製造される注射剤。これでは今回のような感染爆発への対応は不可能です。現に、すでに患者に投与されたZMapp(ジーマップ)と呼ばれる米国企業の未承認薬は、10人に満たない患者に投与した時点で在庫切れとなっています」
富士フイルムは、すでに2万人分のアビガンの在庫を有するといわれ、菅義偉官房長官もWHOや医療従事者の要請で、超法規的提供の用意があると表明している。日本は今回のエボラパニックの救世主になるかもしれないのだ。
取材・文・撮影/樫田秀樹 村上和巳 北村土龍 写真/井上雄二 神戸須磨子 自治医科大学 大阪府立公衆衛生研究所 EPA=時事 図/藤田朋子
― エボラ熱より危険な[日本の感染症]【5】 ―
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