大学ミスコンはオワコン? 女性を商品に“課金ゲーム化”する運営への非難も
女性の商品化、ルッキズムの助長、性の搾取――。大学ミスコンへの批判が年々増加し、今年は数々のアナウンサーを輩出した有名大学でも廃止やジェンダーフリーに踏み出した。今や存在意義が問われるミスコンに未来はあるか?
「ミスコンは10年後にはなくなっているかもしれない」
こう語るのはミスキャンパス評論家の霜田明寛氏。近年、大学ミス・ミスターコンテストは開催そのものが困難な状況に追い込まれている。
早稲田大、法政大、国際基督教大では、’10年代にミスコン開催を否定する旨を大学側が文書で表明。そして今年、上智大は学生が主導してミスコン廃止を決定し、外見以外の評価項目を設けた新コンテストを発表。青山学院大でも出場条件に性別の記載をなくすなど、多くのアナウンサーを輩出してきた有名大学も方向転換し、大学ミスコンはいま過渡期を迎えているのだ。
この背景にあるのが、ミスコンは性差別・外見差別であるという世間の批判。ジェンダーやポリコレ意識が広がり、廃止すべきという論調が年々強まっている。だが、大学を舞台にしたミスコンの批判はそれだけにとどまらない。
「活動していて性的に見られていると感じることは多いです」
都内の女子大に通う’20年ファイナリストである野山花奈さん(仮名)は、応援の声に感謝しつつ複雑な心情を語った。
「ツイッターでセクハラリプがくるのはよくあることです。ノースリーブの服を着てる写真をあげたら『もう少し前にかがんでくれたらいいのに』とか。最初は気がめいってたけど、慣れちゃった自分もいてなんだかなって思います。怖いと思ったのが、ミスコン仲間が個人撮影会をしたときにカメラマンにスカートの中を盗撮されたっていう話を聞いたんです。身の危険を感じました」
このようなミスコンでの性的事件は、外部の人だけでなく協賛企業や運営団体など関係者による例もあり、昨年は慶應大で、今年は東大で出場者がセクハラ被害を告発。ネガティブな報道が目立つことも批判の材料になっている。
難関国立大学に通う’19年ファイナリストの小島千紗さん(仮名)は、組織の体質をこう指摘する。
「他大学を見ても主催団体は飲みサー的な大学生ノリが強い人たちが多いんですよ。『経験人数は? 言いたくないなら身長でもいいよ~?』と聞かれて『160です』とか答えると『どっちのことかな~?』っていう鉄板ネタのやりとりがあって無自覚にセクハラをしてしまう風土があると思います」
また、ミスコンが金儲けの手段のように運営されていることも問題視されている。今年の東大ミスコンではクラウドファンディングを実施し、5000円のリターン特典としてグランプリを決める投票券が配布されるなど“課金ゲーム”化している疑惑が浮上。ファイナリストの一人が「ファンの方々にお金を出してもらっているのが心苦しい」と訴えたことが話題となった。
「協賛企業のキャンペーンで配信ライブのポイント数を競わされたときに、ポイントに課金したお金ってどうなるんだろうって思いました。ファイナリストには少しも入ってこないので」(野山さん)
「イベントに出て拘束時間が長くても無給なんだって思うことはありました。無料のタレントみたいに使われてるなって。それでイベントの収益は運営団体にいくのかと思うと気にはなる」(小島さん)
「外野が勝手に憐れむな」ファイナリストの本音
性差別・外見差別・セクハラ・課金ゲーム化…
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