「ブラサカは非常に音楽的なスポーツだ!」HOME MADE 家族のKUROが語るブラインドサッカーの魅力
いよいよ東京パラリンピックが開幕。今回はその中でも注目の「ブラインドサッカー」(以下、ブラサカ)について、ミュージシャンでありながら、サミュエル・サトシの名前でブラサカを題材にした小説も執筆した「HOME MADE 家族」のKUROさんに、その見どころと魅力を語ってもらった。
ーー普通のサッカーとの大きな違いはどんなところですか?
KURO 最も大きな違いはボールで、鈴の入ったボールを使っていて、選手はその音でボールのある場所を認識してプレイします。コートはフットサルくらいの広さで、ボールが外に行かないようにコートの周囲を1mくらいの高さの壁が覆ってるんです。
ーーアイスホッケーのコートのようなイメージですね。目が見えていない選手はその壁に激突したりしそう……と思ってしまいます。
KURO そう思われるかも知れませんが、選手たちはコートの広さと自分の位置をきちんと把握していて、その壁ギリギリで止まることもできるし、壁に当てて味方にパスを出すこともできるんですよ。
ーーパラリンピックのマラソンなどでは、健常者が伴走者として一緒に走るなどしています。ブラサカにはそうした健常者のプレーヤーはいないのでしょうか。
KURO フィールドプレイヤー4人と晴眼者(目が見える人)のキーパーで5人ですね。パラリンピックでは「5人制サッカー」という種目名になっています。ですが、声でボールや選手の位置を伝えるガイドと言われる役目の人がゴール裏に1人いて、それに加えて監督がセンターライン付近で声を出すので、選手たちはそれを手掛かりにコート全体を認識していきます。なので厳密に言うと7人ともいえますね。
ーーなるほど。声とボールの音で自分やボールや他の選手の位置をフィールドプレーヤーはマッピングしているんですね。
KURO そうなんです。目まぐるしい展開の中で瞬時に正確に位置を伝えなくてはいけないので、言語能力も問われるんですよ。
ーーサッカーだけど、言語能力が求められるんですね。
KURO 動きながらなので、その選手の走力やパスのスピードも計算した上で、位置関係を声で伝えていくのはすごいですよね。しかも、ゴールの中の位置まで区切られてるんですよ。ストラックアウトみたいな感じで。ガイドが、ゴールの空いているスペースを「3!」とかって伝えると選手はそこに向かってシュートできます。
ーーものすごい精度ですね。
KURO ブラサカは非常に音楽的なスポーツ そういう緻密さだけじゃなくて、迫力もすごいんですよ。目が見えない選手同士なので、接近に気がつかなくてブレーキなしで激突したりしてものすごい肉弾戦ですね。はじき飛ばされたり、鼻の骨が折れてしまったりすることもありますし。
迫力と緻密さ、目が見えないからこそ研ぎ澄まされた選手たちの感性がぶつかり合うことが、ブラサカの大きな魅力なのだという。
ブラインドサッカーとはどんな競技?
サッカーだが言語能力が求められる
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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