仕事

新入社員から「セクハラ・パワハラ」と言われない社内コミュニケーションのコツ

 多くの企業が新入社員を迎え入れる春以降、新卒はもちろん、転職してきた人たちで職場の空気は一変する。だが、業務内容や職場環境など、人により理由はさまざまだが、せっかく就職したのにすぐに退職してしまう人もいる。研修を終えて現場に出てきた新入社員たちは今頃、何を感じているのだろうか——。
仕事の悩み

※写真はイメージです。以下同

 社会保険労務士法人レクシード代表の鈴木教大(すずきのりひろ)と申します。昨今は新入社員と交流を深めようと思って声をかけると「セクハラ」、がんばれと言っただけでも「パワハラ」などと言われてしまい、気軽に話しかけられなくなった、飲みにも誘えなくなったという声を多く聞くようになりました。 「たったそれだけで?」と思ってしまうような過剰な反応に、現場ではどのように対応したらよいのか迷っている方も少なくないのではないでしょうか。今回は、特定社会保険労務士として数多くの企業のハラスメント問題を見てきた中で、セクハラやパワハラにならない新入社員とのコミュニケーションの取り方を紹介していきます。

人と人との繋がりが希薄になりつつある現代

ビジネスマン 昨今は、個を大切にする世の中であることは周知の事実です。ただ、個を大切にするがゆえ、会社という集団組織において、なじむことができない若者が増えています。  40代〜50代の人たちが若かった頃は、上司と飲みに行ったりしながら職場では培われない関係性を育んできました。仕事中には話すことができないような内容でもお酒の席であれば、ざっくばらんに話すことができたんです。それが仕事にも活かされ、業務を円滑にする効果があったというのも事実ではないでしょうか。  しかし、今の時代においてその考え方を押し付けるのは逆効果になりかねません。仕事が終わったら、プライベートの時間を大切に過ごしたい、職場の人たちとはなるべく一緒にいたくないと考える人も多いんです。

就業時間内に職場で行う交流イベントが好評

 そんななか、職場内でのコミュニケーションが活性化したひとつの例をご紹介しましょう。ある会社では月1回、金曜日の夕方から職場でお酒が飲めるイベントを開催しているといいます。職場から移動する必要がなく、“就業時間内”での開催。仕事の一環として、普段話すことができない人たちともカジュアルに交流する機会とあって、スタッフからも好評を得ているそうです。  コロナ禍でフードデリバリーサービスが充実し、居酒屋やレストランなどで交流会を実施するよりも低予算で済むのも魅力。  料理や飲み物の選定、そのほか買い出しなど、準備や打ち合わせなども含めて、可能な限り就業時間内に行い、新入社員だけでやるのでなく、上司や管理職を含めたチームで持ち回り制にすることで、社内の結束がより強まることでしょう。  こういったイベントは有志ではなく、チーム全員で参加することに意味があります。また、上司部下関係なくチーム全員で作り上げるのです。チームごとの内容や盛り上がりの差が競争意識を生み、仕事の成果やスピード感にも影響してきます。  管理職側はこういったイベントの準備や設営、片付けなども仕事のうちと認識することが重要になってきます。
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意外と知らない同僚のこと
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社会保険労務士法人レクシード代表。沖縄から青森まで数百社にのぼる顧問企業の支援実績から、労使トラブル対応など、特定社会保険労務士として現実的な解決策提示・予防措置提案を行うエキスパートとして定評がある。企業の労務を“予防”という視点からサポートすることに力を入れており、労働保険・社会保険関係の手続きから給与計算、勤怠管理、行政対応、リスク回避型の就業規則作成支援、入札にからむ経営事項審査サポートまで、幅広く企業の人事サポートを行っている。

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