「餃子の王将」と「大阪王将」…両社の稼ぎ方が“全く異なる”納得の理由
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
餃子をメインとした中華料理店といえば、「餃子の王将」と「大阪王将」が有名。どちらも「餃子の王将」をルーツとしており、のれん分けでそれぞれのお店が誕生しました。
現在、「餃子の王将」は王将フードサービス、「大阪王将」はイートアンドホールディングスが運営し、それぞれ東証プライム市場に上場しています。しかし、一見似たビジネスを展開しているように見えますが、稼ぎ方は全く異なるのです。
2社の違いを簡潔に説明すると、王将フードサービスが飲食店の運営、イートアンドは食品販売・卸が中心の会社だと言えます。勘のいい人であれば、イートアンドは冷凍食品の「大阪王将 羽根つき餃子」が主力商品だから、それは当たり前だと思うかもしれません。しかし、同社は2023年2月末時点で463店舗もの飲食店を運営し、売上高の4割は飲食事業で稼いでいます。
それでも食品販売・卸の性格が強いのです。
イートアンドの業績とビジネスモデルを詳しく見てみましょう。2023年2月期の売上高は前期比7.0%増の330億3300万円でした。
2022年9月に関東第三工場を竣工。国内最大最速級の焼き餃子製造ラインを導入しました。生産力を増強したことで、食品事業の売上高が前期比6.7%増の200億5300万円となりました。2021年1月にも関東第二工場の新ラインを稼働させており、製造力の増強に努めています。
ちなみに500店舗近い飲食店を運営していますが、そのうちの8割程度はフランチャイズ加盟店が占めています。この「フランチャイズ比率の高さ」こそが、王将フードサービスとの一番の違いです。
イートアンド飲食事業の主な役割は、フランチャイズ加盟店への食材の卸です。この会社が増産に努めているのは、飲食事業のビジネスモデルも影響しているでしょう。
店舗の運営にかかる人件費や家賃などの固定費をカットしやすく、販売管理費を抑えやすいという特徴があります。その代わり、変動費に近い原価率が高くなる傾向があるのです。
コロナ禍にも関わらず生産力を高めた理由は?
フランチャイズ加盟店が「8割」
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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