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「餃子の王将」と「大阪王将」…両社の稼ぎ方が“全く異なる”納得の理由

“1000億円企業”まで目前の王将フードサービス

イートアンドと王将フードサービス、原価率・販管費率の違い

イートアンドと王将フードサービス、原価率・販管費率の違い ※決算短信より筆者作成

 王将フードサービスは、2023年3月期の売上高が前期比9.7%増の930億2200万円でした。2024年3月期の売上高は同5.7%増の983億2000万円を予想しています。1000億円企業目前まで到達しており、勢いのある会社です。  2023年3月末の店舗数は732。そのうち、フランチャイズ加盟店は190店舗。FC比率は26.0%で、直営店主体の店舗展開を行っています。  2社の違いは原価率と販管費率によく表れています。王将の原価率は31.6%、イートアンドは59.5%。王将の販管費率は59.9%で、イートアンドは37.7%です。割合は真逆になっています。  王将は家賃や人件費の負担が重く、固定費が高いためにハイリスク・ハイリターンのビジネスを展開しています。  このようなビジネスモデルの場合、コロナ禍のように急激な客数の減少が起こると、たちどころに営業赤字に転落します。競合の日高屋は2021年2月期、2022年2月期の2期連続の営業赤字を計上しました。

土壇場で見せた、さすがの“底力”

 しかし、王将は2021年3月期に60億7300万円もの営業利益を出しています。前期と比較してわずか2割の減益に留めるという快挙を成し遂げました。  その主要因の一つが、テイクアウト・デリバリーの業容拡大に努めたこと。王将はコロナ禍に「レンチンシリーズ」の新発売や、デリバリーサービスの対応店舗拡大に動きます。  2021年3月期のテイクアウト・デリバリーの売上高は前期の1.6倍となる246億800万円でした。売上高の構成比率は2割から3割に増加しています。  テイクアウトやデリバリーの対応は、店舗オペレーションが煩雑になるため、店長やスタッフからは敬遠されがち。それを、あの天変地異とも言えるコロナ禍でやり遂げる力こそ、王将の紛れもない強みです。この会社は人材教育が徹底していることで有名ですが、迅速に体制変更できる点に、その成果の片鱗を垣間見ることができます。
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アサヒビールが王将に与える影響とは?
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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