動物発の感染症は奇病の危険を招く!?
―[世にも恐ろしい奇病の話]―
動物発の感染症は奇病の危険を招く!?動物発の感染症は奇病の危険を招く!?
宮崎で猛威を振るった口蹄疫をはじめ、動物を襲う奇病にも注意が必要だ。そうした感染症から身を守るにはどうしたらいいのか。危機管理のスペシャリストである青山繁晴氏に話を聞いた。
「口蹄疫は人間に感染しないとテレビなどでは流布されています。風評被害を防ぐためにも、一般的には、その認識でよいのですが、いかなる感染もあり得ないとは断定できないからこそ、口蹄疫に罹った豚や牛の肉は決して流通させないのです。注意は必要です。鳥インフルエンザしかり、豚インフルエンザしかり、本来、動物の間だけで感染するはずの病気がウイルスの突然変異で人に感染し、パンデミックの脅威となるように、口蹄疫のウイルスも突然変異の危険性が皆無とは言いきれません」
また、青山氏は”意外”な被害が発生する可能性を指摘する。
「鳥インフルエンザで死んだ鳥も、熱を通せば食べても問題はないと考える国・地域もありますが、捌くのは素手で捌くわけです。人で発症しなくても、その手が媒体となって、ほかの鳥や豚へウイルスを感染させることも考えられます。そうした過程でウイルスに突然変異が起き、未知なる病を発症させることもあるのです」
そうした感染症に罹患したと確認できないまま死亡していたりすることも大きな問題だという。
「現地で感染症の広がりがあって人が死んでいても、十分な診療を受けられる環境になく、感染症と確認できずに亡くなっている場合も現実にあると、考えられます。またエボラ出血熱やペスト、未知の感染症が流行してもその国が公表していない場合がままあります。そうした地域に知らぬ間に入り、感染したまま日本に持ち帰っている可能性もゼロではありません」
その結果、知らぬ間に周囲にウイルスや菌を撒き散らしてしまっていることも考えられ、衛生状態のよい日本でも未知なる奇病や感染症の爆発的流行が起こりうる可能性も否定できないという。
「日本の医師は海外での治療経験を持つ人は少ないですから、諸外国では当たり前の病気であっても誤診してしまうことがあります。それも踏まえ、帰国した空港で微かな下痢や吐き気などであっても異変があれば必ず申告し、専門官の指示を仰いでほしい」
奇病や感染症のパンデミックの端緒を日本で引き起こさないためにも、例えば南アフリカのW杯から帰ってきた人も注意が必要だ。
【青山繁晴氏】
’52年生まれ。日本初の独立系シンクタンク、独立
総合研究所の代表取締役社長・兼・首席研究員。
エネルギー安全保障、危機管理、国家安全保障、
国際関係論、国家戦略立案の専門家
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