更新日:2014年11月16日 09:30
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日本文化の影響!? 中国で「暴走族」が社会問題化

暴走族

中国の暴走族の模様。日本同様、地方都市ではヤンキーがモテる!?

 中国で空前の暴走族ブームが巻き起こっているという。『新華網』(10月17日付)によると、河北省石家荘市で中高生を中心とした暴走族グループが深夜に暴走行為を行い、市民を悩ませているという。また、香港系のフェニックスTVも10月8日、広東省従化市の暴走族グループを「社会問題」として取り上げた。 ⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=742673  重慶市在住の自営業・砂川孝昌さん(仮名・49歳)も、若者らによる集団暴走を目撃したばかり。 「深夜、タクシーに乗っていたら、爆音を響かせながら蛇行運転している10台ほどのスクーター軍団に出くわした。みんなノーヘルでマスクをしており、スクーターに電飾をつけたり、鉄パイプで地面を擦って火花を散らせたりと日本の往年の暴走族とそっくり。僕は北関東出身なので、懐かしい気分になりましたね」  武漢市の運送業・武智義文さん(仮名・37歳)は、中国での暴走族ブームの一因についてこう話す。 「中国には暴走行為を取り締まる交通法規がない。バイクの2人乗りやノーヘル、逆走などでも捕まることはほとんどない。また改造も大した罪にならないので、マフラーを取り外した爆音車や車のエンジンを搭載したバイクも走っていて、迷惑具合では日本の暴走族よりひどい。暴走族集団による交通死亡事故や窃盗などの犯罪も相次いでいますよ」  一方、日本文化の影響を指摘するのは上海市在住の留学生・佐伯好文さん(仮名・35歳)だ。 「みんな、海賊版で日本の暴走族漫画などを見ていますからね。さらに中国のゲームセンターには、よく日本製の中古の体感型バイクゲームもあります。一部の若者が憧れてしまうんでしょうね」 『長春日報』によると6月30日、集団暴走行為が問題となっていた吉林省長春市で警察による一斉取り締まりが行われ、危険運転を行っていた21人のライダーが検挙された。しかし、彼らに下された処分は最も重いものでも約8800円ほどの罰金刑のみだった。  広東省仏山市で貿易業を営む林田岳男さん(仮名・49歳)は、バイク価格の手頃さも若者の暴走行為を助長していると話す。 「中国の地方都市ではバイクは庶民の足。国産スクーターの中古なら5万~6万円も出せば買えます。またハーレーやトライアンフ、カワサキなど、人気モデルの山寨(パチもん)バイクも売られている。スーパーカーで車列を組んで我が物顔で爆走するボンボン軍団に、原付きで張り合っている庶民風の若者集団を見たこともあります」  暴走族ブームの文化的側面を指摘するのは、中国でのタレント活動歴もある俳優の宮下匠規氏だ。 「暴走族がブームとなっているのは、格差の犠牲となっている貧困な農村部や地方都市です。それらの地域では、生活水準が低くなる一方で、治安もどんどん悪化している。そんななか、ひ弱な男ではなくワルでタフな男が女性にモテる。暴走族以外にも、刺青やパンク、日本のビジュアル系をまねたような『殺馬特』と呼ばれるスタイルが流行しています。いずれも上海や北京の若者に言わせれば、『ダサい』の一言なんですが……」  3段シートやロケットカウルなど、日本では見向きもされなくなった族車パーツメーカーにビジネスチャンス到来か!? <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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