住民の大半が反対するリゾート計画。竹富島の“静かな浜”が破壊の危機
景観・歴史・文化・環境・生態系などの破壊に目をつぶり、ひっそりと進行している開発計画は数多い。それは本当に必要な事業なのか? 地元住民はどれだけ情報を与えられているのか? 全国各地で進められている、“あまり知られていない”開発計画の現状をリポートした!!
◆竹富島(沖縄県)住民の大半が反対のリゾート計画
美しいコンドイビーチにリゾートホテルを造らないでください――。
インターネットの署名サイト「Change.org」に、こんな訴えが掲載された。呼びかけ人は、沖縄県八重山地方の離島・竹富島で作陶・販売を行う水野景敬さん。コンドイビーチ(コンドイ浜)とは、竹富島の西岸にある静かな砂浜で、夕日スポットとしても有名だ。その浜の景観が今、破壊の危機にあるという。
「昨年11月、海を目の前にした約2万1100㎡の敷地に、赤瓦のコテージなど、計47室を備える巨大なリゾート計画が発表されたのです」(水野さん)
開発を行うRJエステート社は昨年5月と9月に住民説明会を行ったが、住民の理解を得ることはできなかった。一方、竹富島公民館の会員約240人中200人が建設反対の署名を行い、今年3月31日の総会では全会一致で建設反対を決議したという。
「あの場所は島民が長い間大切に守ってきた静かな浜で、何もないところがいいんです。近代的なリゾートホテルができたら、竹富島の魅力が失われてしまう」(同)
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しかし、RJエステートは「法令を順守しており、抵触するものではない。粛々と(工事を)進める」という。いくら竹富住民が反対しても「私有地」に何を建てようが文句は言えないのだ。当初は6月にも工事が始まるといわれていたが、住民の猛反対の効果があったのか、町はまだ認可をしていない。
「今後も、工事の中止を要請するとともに署名活動を続けていきます。観光客の方々から『入島料』をいただくなどの方法で、建設用地を島民が買い戻すことも考えています。ぜひ、多くの人に知っていただきたいと思います」(同)
写真:アフロ/田中秀明 水野景敬 北村土龍
― こっそり進む[ニッポンの風景]破壊計画 ―
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