有名料亭の店主が、足繁く通っている居酒屋があったとすれば、そこがうまいのは間違いないと言ってよいだろう。これとまったく同じことがスナックにあってもおかしくないのではないだろうか。
あるいは、これまで銀座の高級クラブで数千万円落としてきた企業の役員が、最終的に行き着いたスナック、と言われれば――。
今回紹介する店は、そんな「玄人」たちが集まる密教的なスナックだ。港区赤坂にある、一見なんの変哲もない店内で繰り広げられるのは、門外不出のエンターテインメント。その一部始終をご覧あれ。
◆歌舞伎町、六本木…有名ママも訪れる
このスタイルで44歳!下ネタトークは爆笑必至!
「みなさん、コ~マン(こ~んばん)は~!」いきなりの下ネタダジャレで迎え入れてくれたのは、この店のオーナー祐丘ママ。見事なスタイルで今年44歳というから驚きだ。元ストリップ嬢という異色の経歴を持つ彼女だが、こちらの予想を遥かに上回るインパクトを与えることになる。
「まずはドリンクの注文からお受けしますね!当店のメニューをご紹介します~!」
そう言って、自作のメニューを取り出した祐丘ママ。ページをめくると、一枚のイラストが。
「クイズ!このイラストからドリンクの名前を当ててみてくださーい!」
平べったい男性器のようなものが鉄板の上で焼かれているヘタうまなイラスト。はたして、これが意味するものは?「お肉が、鉄板の上で焼かれてるでしょ?なんの肉かと言えば……チンコ!お客さん、これはチンコ肉ですよ!すなわちこのドリンクの名前は…チンコニク、チンコニック、ヂントニック、ジントニック!」
こんな調子で、下ネタを組み合わせたダジャレドリンクメニューが次々と紹介される。そのリズムとスピード感に、こちらはただただ圧倒されるばかり。だが、客が受け身に徹するかと言えば、決してそんなことはない。
「おつまみも召し上がってくださいね!はい、ポテト味のスナックを召・し・上・が・れ~!」
細長いスナック菓子を3本(!)器用に鼻の穴に入れ、こちらをじっと見つめる祐丘ママ。どうやら、「やれ」ということらしい。
「このお菓子を、鼻から口に移動させて食べられるんですよ~!ほらっ!」
器用に菓子を口の中に運び、続いてワイングラスをガボッとくわえ込む。一切の無駄がない彼女の動きは、「宴会芸」と呼ぶには洗練されすぎている。
平日のみの営業だが、店内はつねに大盛況。まるで落語を見ているかのような祐丘ママのトークに、昼間は真面目な顔で大手町を歩いてるはずのサラリーマンたちも「夜の顔」を見せる。歌舞伎町や六本木の有名スナックのママたちが勉強をかねて遊びに来るというのも納得だ。
23時。フロア内のすべての客をいじり倒すエロ漫談が終わると、店内はなんとも言えない一体感が醸成される。
徹頭徹尾「くだらない」と言わざるを得ない下ネタが降りかかるこの店だが、翻って自分はこれまでいかに安易な下ネタを口にしていたか。痛感するワルヂエだった。 【ラブリーバー】港区赤坂3丁目 TEL 03-6277-7878
(営)20:00~25:00
(休)土日祝
(料)5300円 ドリンク2杯付き。3杯目から800円 時間による課金なし。
キャストは20代後半から40代までと幅広く、ママのみならずみな一芸を持っている
<撮影/長谷英史 協力/伊藤 綾>