俺の夜
そんな連載のフィナーレを拝命したスパムだが、やるべき内容は一つしかない。15年の中で、唯一変わらなかったもの。それは東幹久さんによる題字だ。15年も使った感謝の意を伝えるべく、銀座のクラブで〝東アニキ〞へのお礼接待をセッティングした。
夜遊びのアニキ 東幹久が登場!
東アニキとの初共演の舞台は、銀座のクラブ「梟」だ。店でしばし待つと、白い歯を見せて笑う東アニキが登場!
「長いこと頑張ったね、お疲れさん!」と労いの言葉をいただきながら、早速の乾杯! 和服のママと東アニキが並ぶと、まるで2時間ドラマのワンシーンのようだ。
そもそも、なぜ東アニキに題字を依頼したのか。当時の担当デスク曰く、「あの頃の夜の街の〝顔〞といえば東さん夜遊び連載なら、題字は東さんしかいなかった」という。
「細かい経緯はよく覚えてないけど、渋谷で生まれて10代からずっと渋谷で遊んできたからね。その話を聞くと、まあ、確かに適任だね(笑)」
その後は東アニキの夜の思い出話に花が咲く。
「20代の頃はカクテルブームでさ。まりちゃんってコとデートしたとき、格好つけて『ブラッディ・マリー』を頼んで一口飲んだら、彼女の白い服
に噴き出しちゃったんだよね。ウォッカとトマトのカクテルだけど、子供の頃からトマトが大嫌いなのよ」
スパムも酔って路上で爆睡した経験などを話すと……。
東「わかる。昔、俺も泥酔して目覚めたら渋谷の電話ボックスの中だったことあるから。通勤中のサラリーマンにめちゃくちゃ見られたし、SNSがなくてよかった(笑)」
そんな東アニキも52歳。「何軒もハシゴするのはもうキツイ」と笑いつつも、夜遊びは人生に必要だと話す。
「年を重ねると忙しいし、みんな『遊ぶ時間がない』って言うよね。でも、それだと日々の刺激もなくなっちゃうし、もったいない。自分の内面が老け込まないように、適度な夜遊びはし続けるべきだよね。だからさ、SPA!もこの連載を終えるの、やめたほうがいいんじゃない?(笑)」
至言を胸に、読者との再会を誓ったスパム。ひとまずの幕切れとなりますが、15年間ありがとうございました!
「CLUB 梟 FUKUROU」
住:中央区銀座8-7-22第23ポールスタービル3FC室
営:20~24時
休:土・日曜
料:セット料金1万5000円/90分、サービス料30%、TAX10%(初回ボトル代は別途)
電:03-6280-6550
https://club-fukurou.amebaownd.com/
’08年に始まった当連載だが、なんと600回を機に終了という悲しい判断が下された。残りあと5回。限られたなかで読者に厳選したお店を紹介せねば……。
そう思っていたところ、’22年5月に摘発された日本最大級のハプニングバー「眠れる森の美女(通称SB)」の元オーナーが、新しいバーを開いたとの情報を入手した。〝合法ハプニングバー〟というコンセプトだが、どんなお店なのか。早速行ってみた。
やってきたのは、新宿5丁目にあるバー「美女と野獣」だ。店内に入れば、赤い照明に照らされてなにやら怪しげな雰囲気だが……。
そこに、「ウチは普通のバーだから安心してくださいね!」と登場したのは、店員の魔女さんだ。彼女も別のハプニングバーのスタッフだったという。魔女「私もいくつかのハプバーで働いてきたので、”業界歴”はかなり長いほうですね」
そんな魔女さんお手製のカクテルを頂きつつ、話題は昨今のハプニングバー情報に。
魔女「実は都内では今、ハプバーが増えているんですよ。大きい店が摘発されても、そこにいたスタッフが新店を出すケースが多いから。あと、ニュースでハプバーを知った人たちが気になって通い始めるって現象も起きていますね」
アングラ界の重鎮と〝きわどい話〟を堪能
ハプバー界隈の重鎮ともいえる存在から、トレンドや裏事情を聞けるのは貴重な体験。店内に飾られているSMグッズも魔女さんの私物だとか。
魔女「実際に手にとって使い方もレクチャーしますよ。ウチでは性癖を解放してもらって、全員であけすけな猥談ができるのが魅力ですね」
ほかにもキャラの濃い女性店員が多数。昼間はOLとしても働くチワワさんも、ハプバーにハマった一人だ。
チワワ「いろいろなハプバーを巡って会員証を集めるのが好き。今は、イケメンの店員や映える内装の店も多いから、女性の”ハプマニア”も増えているんですよ」
推し活の波はハプバーにまで及んでいるようだ。酔いが回れば、壁のSMグッズで客が遊びだすことも多いとか。チワワ「お客さんもハプバー好きな人が多いんで、店ではオーナーも交じって毎晩、濃い話が飛び交っていますね。その話に耳を傾けるだけでも、明日誰かに話したくなるネタになると思いますよ」
そんな同店のオーナーの廣瀬さんは、「変態さんが気兼ねなく集まれる、新しい居場所を提供したい」と言う。
廣瀬「SBが摘発されたときは、いきなり100人くらいの私服刑事が入ってきて、強盗団が襲ってきたのかと思いました(笑)。今の店は合法ハプバーなので、警察の方もウェルカムですよ!」実際に行かずとも、すっかり世界観に浸るスパムでした。
「美女と野獣」
住:東京都新宿区新宿5-12-16 正剛ビル4F
営:19時~翌5時
電:03-6457-7830
休:不定休
料:チャージ1000円、ドリンク1杯500円~。会計は現金のみ。
その他の詳細は、ツイッター(@Barbijotoyaju)まで
撮影/菊竹規
東急歌舞伎町タワーが開業し、ますます盛り上がる新宿・歌舞伎町。コロナ禍ではゾンビタウンと呼ばれていたのがウソのようだ。
とはいえ、明るい話題だけで終わらないのが歌舞伎町らしさ。先日はマッチングアプリを利用し、ぼったくりを繰り返していたグループが一斉摘発される事態も発生した。
そんなニュースを聞けば「知らない店に入るのは避けよう」と思ってしまいがちだが、だからこそ新規開拓をするのが我々「俺の夜」取材班である。ぶらぶら歩いていると、ハイジア周辺という歌舞伎町でも話題に事欠かないエリアで水着姿のダンサーが並ぶ店の看板を発見。雑居ビルの地下へと下りていった。
水着美女の派手さとスナック的魅力の融合
訪れたのは、水着ガールズバー「Party Queen Tokyo」。ミラーボールの設置された店内だが、カウンターとボックス席を合わせて15席ほどでこぢんまりしている。そこに「お疲れさまで~す」と接客してくれたのは、カラフルな水着姿のお雪ママ&ひなさんだった。お雪ママ「SNSを見るとワイワイ系で飲みそうなんですけど、実は落ち着いて飲みたいお客さんが多いんですよ」
その言葉通り、見た目とは裏腹になんとも落ち着いたトーンの接客をしてくれる2人。若者が集まってテキーラ片手に騒ぐ店かと思いきや、「むしろ歌舞伎町に疲れた人たちがしっぽり飲みに来る感じの店」(ひなさん)とのこと。
というわけで、ショットではなく鏡月の水割りで乾杯。聞けば、こちらの店はコロナ禍真っただ中の’20年にオープン。当初はセクシーなダンサーが働くショーパブ風の店だったが、「お客さんがもっと楽に飲める店にしたくて、接客中心のスタイルに変えた」(お雪ママ)という。「店の場所も雑居ビルの地下だし、ぶっちゃけ怪しいじゃないですか? だから、ぼったくりだと疑われないように、1セット(60分)ずつ声かけをしたり、明朗会計にするのだけは気をつけていますね」
とはいえ、ダンサーが働く店なので、しっぽり飲むだけが魅力ではない。シャンパンを入れた客にはスタッフ総出で「ありがとうコール」を見舞い、毎週土曜には2回のダンスショーも開催。有名クラブで鳴らしたお雪ママのキレキレなダンスも堪能できる。「5枚1000円からのチップ遊びもできますよ。ただ、ショーはおまけで、ウチのメインはやっぱり接客なので。谷間を見ながらバカ話をしたり、日頃のストレスを発散しに来てくださいね」
水着が売りのショークラブかと思いきや、今はスナックにいるような心地よさ。お店の真価はやっぱり入ってみないとわからないものだと、痛感するスパムでした。
「Party Queen Tokyo」
住:東京都新宿区歌舞伎町2-37-5 日新ビルB1
営:20時~ラスト
電:03-6233-7758
休:日・月曜
料:4000円/60分(飲み放題込み) 毎月土曜にショーイベントを開催。
詳細はインスタグラム(@partyqueen.tokyo)まで