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俺の夜

緊急事態in歌舞伎町。美人ポリスのキツい“取り調べ”で歓喜の涙にむせぶ夜

 3度目である。昨年に引き続きGWは「ステイホーム」。東京の夜の街は酒類提供の自粛要請を受け、いよいよ窮地に追い込まれた感がある。俺のホームである新宿・歌舞伎町をそぞろ歩くと、「ランドマーク」である「ロボットレストラン」はもぬけの殻。

俺の夜

外壁が取り外された「ロボットレストラン」は総工費100億円との触れ込みで’12年7月オープン。苫米地は’SPA!12年8月28日号で潜入

 1年半ほど前にはインバウンド客でごった返し、煌々と光を発していた看板は取り外され、店は漆黒の闇に包まれているではないか。

 区役所通りに抜けると大箱のキャバクラが連なる一角があるが、ここも人まばら。夜の蝶は何処へ。

 歌舞伎町の今を尋ねるべく、夜遊びガイドのO氏に電話かけると、「とある店でつかまっています」と妙なことを言う。聞けば区役所からすぐの店。テナントが多く入る老舗の巨大ビルに急行した。

わっぱをかけられ容疑者と呼ばれて……

俺の夜

左から新人ポリスのぴょんちゃん、上長のひまりちゃん、通称「オジ殺し」みゆのちゃん。尋問上手でノンアルなのに余計なことを“ゲロ”

 小さなドアを開けると、ポリスルックの女のコが出てくる。「はい、確保~」俺の腕をグッと摑むと、両腕に手錠を素早くかけ、鉄格子の部屋へ押し込んだ。ヘラヘラと笑っているO氏。なんでもここは出頭した容疑者が、性悪ポリスに取り調べを受けるというコンセプトのコンカフェだという。

俺の夜

店内奥の“留置所”でシステムの説明を受ける俺。妙にワクワクしたあとはカウンターでポリスたちから取り調べ

 容疑者が出頭してきたのに『がさいれ!』という店名はいかに!? ツッコミを入れていると「ボトル入れるの? 入れないの?」とスゴまれた。要請遵守の同署は目下、酒類NG。カウンターでノンアルコールシャンパンでの「取り調べ」となった。

俺の夜

俺の夜

当面はノンアルコールでお待ちしていま~す!

歌舞伎町の性悪ポリスが黙秘不能の取り調べ

「オジ殺し」との異名を取るみゆのちゃんに「ステイホームなのにウロウロしてちゃダメじゃない!」とキツイお叱りを受ける俺。逃走防止にと、“わっぱ”の片方はみゆのちゃんの腕にかけられている。

俺の夜

シャンパンボトル注文で、ポリスと手錠で繫がれ尋問へ

「口を割らないならぁ、シャンパン銃でお仕置き!」

 横で聞いていたひまりちゃんが、新人警官のぴょんちゃんに「さぁ、やっちまいな!」。冷たく言い放つ。

俺の夜

俺の夜

名物「シャンパン銃」で自白を強要。大盛りあがり必至のアトラクション

 シャンパン銃の銃口を向け、俺の口に容赦なく注き込むぴょんちゃん。その様子にバカ受けする性悪ポリス。カウンターに置かれた本物のパトランプの赤い回転光が俺の心拍数を上げた。

俺の夜「このシャンパンを飲み干したら釈放ね!」

 無罪放免があまりにも惜しく、結局もう一本入れてしまった俺。ノンアルは財布に優しいのだ。

【がさいれ!】
住:東京都新宿区歌舞伎町2-10-5 G1ビル6階FC室
電:080-7552-7740
営:17~20時(平日)、15~20時(休日)
休:月
料:1時間飲み放題2500円(男性)、1500円(女性)~。ノンアルコールシャンパン5000円~

●最新情報はTwitter(@gasaile)でご確認ください

※営業時間や定休日が変更になる可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください

撮影/渡辺秀之 協力/O氏(夜遊びガイド)

純白のアオザイが目に眩しい。素朴なベトナム娘が集うガールズバー

 20年前、某エロ本出版社にいた頃、上司に飲みに誘われると、必ず最後に行き着くのがフィリピンパブであった。そこで普段は比較的無口で冴えない白髪のおじさん然とした上司が、カラオケのマイクを握るやZeebraのヒップホップナンバーをたどたどしい滑舌で歌い、フィリピン嬢にチヤホヤされ鼻の下を伸ばしていた。

 若輩者だった当時の俺はそこにまったく馴染めず。「フツーのキャバクラに行きたいよなぁ」と嘆きつつ、鏡月を舐めては、二日酔いになったのを思い出す。

真っ白なアオザイとキュートな笑顔に「きゅん」

 中野で別件の取材が終わり、一杯引っかけたあと、中野ブロードウェイ近くの「白線通り」を夜遊びガイドのO氏と流した。夕方というのにフィリピンパブやガールズバーのネオンに火がともっている。コロナの自粛もあって、どの店も早い時間から営業しているよう。そんな俺の昔のエピソードを話していると、O氏が突如指さす。

俺の夜「フィリピンパブの下にベトナムガールズバーがありますね。上野あたりの下町にはポツポツありますけど、東京の西側では珍しい」。

「ノンラー」という笠帽子に顔を半分隠したアオザイ姿の女のコのインパクトのある看板。O氏がスナック然とした小さな店の扉を少し開けて恐る恐る覗く。すると奥から「いらっしゃいませ~!」と元気のいい声が飛んできた。

俺の夜

左からアメちゃん、ハナちゃん、インちゃん。10席ほどの小さな店だが女のコは常に5~6人が出勤。20代が中心の美人揃い

驚くほど流暢な日本語でコミュニケーションに問題なし

 純白のアオザイ、薄化粧。素朴な感じの女のコたち。アクリル板を挟んだカウンターに案内されると。「何飲みますか~」とかわいく聞かれる。2軒目なので、口直しに赤ワインを所望すると「みんなで一緒に飲みましょ~」と言われボトルを入れることに。

俺の夜

60分のセット代金はなんと2000円。ボトルキープも5000円~と格安。この日は女のコのリクエストでワイン(1万円)を奮発

 日本語も驚くほど流暢でコミュニケーションに問題はない。一番日本語が上手なハナちゃん(25歳)に聞けば、来日して6年。近所だからということでこの店で働き始めたという。

俺の夜「日本語で日本人とたくさん会話をしたかったから、毎日勉強になってとっても楽しい」

 と健気なことを言う。そんなハナちゃんが「いちばん日本語がうまい。若いから頭がいいね~」と紹介したインちゃん(21歳)は来日して2年。日本が大好きでコロナ前は北海道や沖縄など日本各地を旅していたそう。そんな彼女に日本人男性は好きかと問うと、

俺の夜

2階のフィリピンパブとは姉妹店。ママさんのツテで、タイやフィリピンの女性との結婚を考える人のための「合コン」も開かれる

「お酒の場でも紳士的だから日本男性は好き。ベトナムの男は働かないし、ケンカが好き」

 と驚愕のエピソードが披露された。隣のアメちゃん(22歳)も、

「ベトナム人男性は酔うと、絶対男同士で殴り合いになる(笑)」と爆笑しつつ首肯する。

 男性優位社会といわれるベトナムでの女性の苦労が忍ばれる。

「はじめてのチュウ」にほっこり、癒やされる

俺の夜 そんな女のコたちが日本語を最も早く覚える手段のひとつがカラオケ。字幕があり漢字にもふりがながふってあるからいい教材だという。そうした彼女たちの十八番が「はじめてのチュウ」。モノマネしつつ唄う女のコに見惚れていると、ほっこりするのはなぜか。

 日本人のキャバやガールズバーにはいない素朴で、素直で屈託がない女のコ。おじさんにも興味津々、いろいろと質問して、答えるたびに驚いてくれるのは何気に嬉しい……。

 かつての上司と同じ年頃になってわかったこの心境。中年は構ってほしいのだと。

俺の夜【パラダイス】
住:東京都中野区中野5-55-16
電:03-5942-9293
営:19~翌3時(現在は16~21時)
料:2000円~(60分/ウイスキー飲み放題)、持ち込み1000円、カラオケ歌い放題1000円、ボトルキープ5000円~

協力/O氏(夜遊びガイド) 撮影/渡辺秀之

浜松町にオアシス果樹園登場。サワーと美女に癒やされる夜

 緊急事態宣言もふた月目。夜、ふらりと繁華街に飲みに行くことも叶わず、逆に「もう酒飲まなくてもいいんじゃないか」と思えるようになってきた俺がいる。

浜松町の片隅で看板女優が待ってます

 夕方、山手線の浜松町で電車を降り、いつもと違う道をトボトボ、編集部に向かっていると、妙な建物を発見。白くチープな外観は、良く言えば「手作り感」、悪く言えば「掘っ立て小屋感」。「東京果樹園」とカラフルに筆書きされた看板に、ビニールの屋根の木造テラス、間口は広いが奥行きのなさすぎる店舗。

俺の夜 八百屋なのか? と思って近づくと「レモンサワー」と書かれた黄色い提灯が揺れている。素通しのガラスから見えるのはカウンターと白木の板のお品書き。レモンや文旦がカウンターに並んでいる。ジューススタンド? 近づいていくと、ガラスの奥から女のコが手招きしているではないか。

俺の夜「いらっしゃいませ~!」

笑顔で迎えてくれたのは、ここを切り盛りする店長の逢澤みちるさん。聞けば、果汁を生搾りするサワーを中心とした立ち飲みで、オープンしてもうすぐ2年がたつという。編集部の目と鼻の先にありながら全く気づかなかったなんて……。再開発が盛んな浜松町でも、同店のある場所は浜松町の片隅、屋形船の乗り場がある船宿街。マニア好きのする立地である。

俺の夜

左から店長の逢澤みちるさん、西田百江さん、百合沙さん、酒井比那さん。全員が現役の女優さんで、舞台や稽古の合間に店で働く

実はメディア初登場そこにはワケが……

 己の勘の悪さを嘆いていると、「マスコミ取材には一切応じてこなかったので、知られていないのも当然です。自分たちの力だけでお店を作って、宣伝も自分たちでやるという信念で……」

 なんとこの手作り感溢れる外観や内装は、店長以下、従業員の女のコたちが作ったものだという。

「元は八百屋さんだった物件を自分たちでリノベーションしました」

俺の夜 まるで学園祭の模擬店のようなノリ。店長以下、女のコたちは自分たちの“仕事”に誇らしげ。さっそく名物というレモンサワー(500円)を所望する。ハンドジューサーに広島県瀬戸内産のレモンをセット、ギュウっと搾る。玄人好きする宝焼酎を強めの炭酸で割ったレモンサワーが届いた。

俺の夜

看板やお品書きは書道八段の店長の書

フルーティな生搾りサワーと美女のトークで飲みすぎて……

 グッと飲むと実にフルーティ。しっかり酒も効いていて、安居酒屋にある人工的な酸味とは大違い。これは飲みすぎてしまいそう。

俺の夜  店内には演劇のポスターがあちこちに。ひょっとして……。

「私を含め、女のコ全員が女優なんです。自分たちの舞台や映画の宣伝もしています。稽古帰りにここに出勤して帰るコもいます」

俺の夜

酔いが回ってワイ談をしすぎると罰金!「失言BOX」に500円を投入するハメに。(現在、店内ではマスクを着用しています)

俺の夜 店の客として来て居心地のよさに思わず働いてしまったという酒井比那さんが2杯目のサワーを作ってくれた。女のコたちの舞台等の話を聞きながら飲む酒は、格別。会社を抜け出して通おう。

俺の夜

その場で搾るサワー。左からライム(600円)、キウイ(700円)、グレープフルーツ(700円)

【東京果樹園生搾りBAR Koi Koi】
住:東京都港区浜松町2-12-6
電:080-3214-8864
営:18:00~24:00(現在は17:00~20:00)
休:土・日・祝
料:生搾りサワー500円~、瓶ビール500円(お通しチャージ500円)
●果物はここから豊洲に移転した「元八百屋」から仕入れる(@koikoi_bar

撮影/渡辺秀之

メイドから特攻服。着せ替えコンカフェで妄想世界にどっぷりハマる

 2度目である。我々夜の生活者にとって今回の「緊急事態宣言」は死活問題。果たして街はどうなってしまうのか。狭いアパートでじっと手のひらを見ていると、夜遊びガイドのO氏からのLINE。「アキバが今すごいんです、とにかく来て […]

港町神戸・三宮。美人四姉妹が切り盛りする立ち呑みに酔う

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