俺の夜
急な話だが、今回で1年弱務めた本連載の卒業が決定した。そこで最後は、生きのいいギャルの集う店に行こうと決意。
なぜギャルか? それは俺が唯一、魅力を感じる存在だから。「ギャルは口が悪くて怖い」なんて思われがちだが、俺の考えは逆。無口でつまらんコより、「ダサ!」「キモ!」ってズケズケ言えるギャルのほうがよっぽど人間味がある。俺自身、斜に構えて人と接するも、年が上だとすぐに心に押し込めるタイプだから、彼女たちの素直さは羨ましい。実は根っこで考えは意外と共鳴してるんじゃないかって期待も残る。最後だし、そんなギャルに全力で身を委ねてみたいのだ。
カワイイのになりふり構わず笑かす
そんな欲を抱えて向かったのは渋谷のガールズバー「beach」。入店すると、タンクトップ&ショートパンツ姿で、健康的なへそをチラ見せするギャルたちが出迎える。
「うち、小柄だが谷間が眩しいチカさんが「お兄さん初? かなりテンション高い店だけど大丈夫?」と挑発。 無論、大歓迎だ。ここの最年少ガールだというミオさんは、「うちは『ガルバ界のナンバーワン』を目指してて、客が思わず『1杯飲みな!』と言っちゃうネタを仕込んでるの。私も歌が大得意で、十八番の『雪の華』を聞いて惚れない客はいないかな(笑)」と豪語する。ネタを仕込むほどプロ意識の高いガルバなんて、なんとも期待値が上がる。さっそく代表のシホさんにドリンクを入れてみた。「ありがと! 私、ある芸能人に似てるってよく言われるんだけど、誰だかわかる?」
そういや大きな瞳といい、豪快な笑い方といい……。「もしや、橋本環奈?」
シホ「そう! ま、声は酒焼けでカスカスだけど(笑)」
シホさんはそう言うとサッと裏にはけ、ハシカンの代表曲「悪魔なカンナ」とともに再登場。頭には黒いヅラ、顔には落書きを施して踊りながらも、ラストは「怒ったかんな、許さないかんな、はしもとか〜んな♡」と俺の心を打ち抜いた。カワイイのにここまで潔く振り切れる。ギャルへの尊敬度が爆発してしまい、思わず「テキーラいっちゃいましょ!」と口にしていた。
「ありがとう〜!」と、女のコたちの声が揃うと、すぐにドープなBGMが流れ、「今夜はビーチで、グイッとグイッとイっちゃって〜!」と息の合ったコールがあり、そのまま皆でイッキ。飲みっぷりまでいいギャルを見てると、こちらも無条件に頭がバカになってきて清々しい。帰りには、金髪ギャルのモモさんが「今度は私の葉加瀬太郎のネタも見にきて」と胸を押し当てたハグを。最高のギャル締めを果たし、ご満悦のルイスでした。
「beach」
住:東京都渋谷区道玄坂1-6-7 須佐ビル3階
営:21:00〜翌5:00
電:03-3780-0080
料:1セット目は40分2600円(税別)で各種飲み放題
最新情報は店舗のInstagramアカウントで(@shibuya_beach)まで
撮影/長谷英史
はたらけど はたらけど猶わが生活 楽にならざり ぢっと手を見る。
石川啄木のそんな歌が心を悲しく通り過ぎる。今月はすでに3回デリヘルに行き、出費を回収しようと北斗無双に突っ込んだ結果5万円負け……。こんな生活を繰り返すから、ちゃんと働いていても万年金欠なのは十二分に理解しているが、とはいえ刺激ある人生こそ男の本懐。「とにかくカネが必要だ」と焦ったオレはその方法を血眼になって探していたが、たまたま目に留まったのが「投資家バーSTOCK PICKERS」だ。
ここで投資を学んで安定的な資産を手に入れられれば、風俗もパチンコも行き放題、しかも社畜生活ともおさらばできるわけか! 21時、俺は残った仕事を放り投げ、編集部からバーがある銀座方面へ駆けていった。
店員が客同士を仲介 一見に優しいシステム 店内は黒を基調としたシックな雰囲気で、バーカウンターもいい感じで映えており、高級感漂う会員制サロンのようだ。初心者の若手編集者が下心と勢いだけで来るような場所じゃなかったか……と早くも心が折れかけていると、店長の今泉早人さんが声をかけてくれた。「お客さん初めてですか? ウチは来店客の半数が一見さんなんですよ」
それなら一安心。席に通されメニューを開くと、「リーマンショック」「追証」などの洒落っ気のあるオリジナルカクテルが並ぶ。その中でも縁起が良い「青天井」を注文。給料制の俺からしたら、たまらない響きだ。
「ウチは初心者からベテラン投資家まで交流できるように、コースターを2色用意しています。白はほかのお客さまと話したいとき、黒はしっぽり仲間内で飲みたいときと、その日の気分に応じて使い分けてください。状況に応じて我々スタッフがしゃべりたいお客さま同士を仲介しますよ」
夢の豪遊生活に近づくため、選んだのはもちろん白のコースターだ。
「常連さんには億り人や30歳でFIREを達成された方、投資本を出版されている方もちらほらいて、なかには自分が持っている銘柄を公開している人もいます。いい出会いと儲け話が転がっているかもしれませんね」
「今は某大学の経済学部に通ってて投資を勉強中です! 将来は証券会社に進もうと思ったのですが、お客さんから業界の内情を聞いて迷い中……(笑)。業界の内情や時事的な動向などを聞けるのもバーならではの醍醐味ですね」
なるほど、ここには俺の知らない世界が広がっているようだ。新しい界隈で大富豪への道を開こうと青天井を飲み干すルイスでした。
「投資家バーSTOCK PICKERS」
住:東京都中央区銀座8-2-14 竜王ビルV 4階
営:火~土 17:00~23:00 日 14:00~20:00
休:毎週月曜定休
料:チャージ1100円、ドリンクは770円〜
電:03-6770-0015
最新情報は店舗にお問い合わせください
「実は前いた高級クラブで、某月9主演俳優に赤ちゃんプレイをせがまれたことがあって(微笑)」とか、「最近ハマってるものある?」、「実は毎号SPA!をこっそり買うのが趣味なんです(照)」、そんな会話があれば俺の仕事もだいぶ楽になるわけだが、周りのテーブルを見てもお目にかかったことはない。不勉強だし、自分の恥部は曝け出さないし狡猾で、面白くない。そんな店が大半だ(例外は大いに認める)。
とまあ長く愚痴っていますと、同僚が「それならアットホームないい店あるよ」と声をかけてきた。こいつも厄介で、アラサーなのにいまだに大学生ノリで飲んでるようなヤツ。基本的には信用していないが、店探しには困っていたし、背に腹は代えられない。行ってみることにした。
セルフだからこそ〝密〞な飲みが生きる
「いらっしゃい。今日はよくぞ来てくれました!」
そう出迎えたのは、この店を含め五反田で3店舗を経営し、神出鬼没に現れるママ・平野アミさん。周りでは先客たちが既に乾杯していて、和気あいあいとした雰囲気だ。
「お兄さんもなにか飲むなら、ドリンカーから好きなものを取ってきてね。ウチはメニューもないし、お酒もセルフ! お母さんが家族に夜食を振る舞う感じで自由に営業しています(笑)。その分、料金設定を抑えているから安心してね」
確かに1時間1000円からの飲み放題制は格安。ボトルもカウンターに並べてあって、お客同士の助け合いで次の一杯を作る。だからこそこんなに賑わっているのか。
「私はもともとこの店の雰囲気が好きで、通っていたんですけど、カウンター内でお手伝いもするようになって(笑)。アミさんは近くの熟女パブで働いてたこともあって、トーク力や軽い下ネタが抜群。女性でも居心地いいですよ」スタッフのちくわさんがにこやかにお店への愛を語っていると、横の気前の良い常連さんがシャンパンを注文。
「今から五反田の男のコが好きな言葉を並べながら、開けるプレイをします。せ〜の、ローション、マット、シャンパーン!!(一同斉唱)」
アミさんのかけ声とともに、店内に笑いが溢れる。「これが夜の街・五反田で培った下ネタか〜」と内心感動しながら、自分も一杯いただき、目の前に盛られた母の味を食す。作り込まれた料理と店内に広がる無垢な笑顔に居場所を見つけたルイスでした。
「きになる母館ニューヨーク」
住:東京都品川区東五反田1-15-2 入山ビル2階
営:20時~翌4時(日によってバラつきあり)
休:毎週日曜
料:飲み放題60分1000円~(選べる種類で値段が変動)、おばんざいや煮焼き物は適量で1皿500円