俺の夜
コーナー、俺の夜の開始当初からメンバーとして参加し、足かけ12年にわたって夜の街をさまよってまいりましたが、このたび卒業と相成りました。
「俺の夜、読んでますよ!」と言われたことは数知れず。仙台の街を歩いていたときなどは「あ! 雑誌に出てる人だ!」と呼び込みに大声で指をさされ、そのまま店に連行されたこともあった。
だが、取材で訪れた店で常連になって通うようになった店は、実のところ1軒だけ。二丁目のゲイバー「ぱるぷんて」である。
“ママ”との付き合いは気がつけば12年
ママのとおるちゃんとの初めて出会いは’09年の4月。俺の夜第二十八夜で訪れた某ゲイバー。その店で働いていたとおるちゃんが独立して「ぱるぷんて」ができた。訪れたのは緊急事態宣言発出を控えた4月某日。とおるちゃんを相手に思い出話に花を咲かせた。
テポドン:ちょうど連載を始めて半年くらいたったときに来たんだよ。それ以来の付き合いだから、実に12年。ヘタなカップルよりも長い付き合いになっちまったね。とおる:そうですよね~。「대포동(テポドン)」って、何本の鏡月ボトルに書いたことか。
テポドン:30代の頃とかさ、一日でボトル2本とか3本空けてたのが懐かしいわ。
とおる:注ぎながら「ストップって言ってね」って言うから「ストップ! ストップ!」って言っても、絶対に注ぐのヤメない(笑)。そりゃ、ボトルも2本、3本って空きますよ。
テポドン:この店に来ると、次の日、使い物にならないくらい飲んだもんなぁ~。数々の店を振り返り思い出話に花が咲く
こんなにゆっくりとおるちゃんと飲む酒は珍しいなと思いながら、時間は過ぎていく。
とおる:思い出に残っているお店ってあります?
テポドン:池袋のデブ専スナックと大宮の水着キャバかな。池袋のデブ専スナックは悪夢だったね。奢るのがドリンクじゃなくて、焼きそばとかのフードなの。で、5人くらいのポッチャリから散々カレーやから揚げをたかられて、とんでもないカネを払った揚げ句、オーナーが出てきて「撮影終わらせて、早く帰れ!」だもん。
とおる:ドリンクたかられたんじゃなくて、食べ物って(笑)。
テポドン:カレー一皿3000円、トッピング1000円とかなの。それでガンガン盛られて一皿6000円くらいでさ、銀座の有名洋食屋でもねぇっての。カレーは飲み物ってネタで言うけど、まさに飲み物で、力士が優勝したら大盃で酒飲むじゃない。まさにあれ。
とおる:アハハハハ(爆笑)。じゃあ大宮は?
テポドン:大宮は天国だったなぁ~。水着の超アゲアゲなギャルにワーって囲まれて、担がれるようにして撮影したもん。頼んでもないのに、「こんなのとか、盛り上がります~」って、いきなり俺の口の中に指入れてきたり、股間さわり始めたり(笑)。場所が大宮じゃなかったら通ってたな。
取材で行った店じゃさすがに口説けない
とおる:結局、何軒くらいのお店に行ったんです?
テポドン:数えてないけど、ロケハンしたりもしてたから、300軒以上は行ってるね。
とおる:それで常連になったのは「ぱるぷんて」だけって、すごくないですか、ウチの店。テポドン:取材の後にまた行って、「アフターええやん、な、ちょっとだけ、ちょっとだけだから」とか絶対に言えない。
とおる:確かに(笑)。どこの何者かって素性もバレてますからね。
テポドン:そうそう。愛はあるけど絶対に一線を越えないとおるちゃんを相手にハッチャケるってのは、安心安全で楽しめる。
とおる:ちょっとひどいなぁ~(苦笑)。一線を越えないって、テポドンさん、あたしじゃダメなんですかぁ~(笑)。
テポドン:はい。愛はあるけど、一線は越えません。
そんなこんなで時間は過ぎ、残念無念のバイバイタイム。読者の皆様、12年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
【ぱるぷんて】
住:東京都新宿区新宿2-18-5 第二天香ビル2F
電:03-6273-2064
営:20時~翌5時
休:日
料:チャージ1000円 飲み放題2時間4000円 ボトル各種4500円~
※新型コロナウイルスの影響で営業時間が変更されることもあります
撮影/我が畏友 赤松洋太
「ウマ娘って知ってますか?」
と、唐突に電話してきたのは、ギャンブルライターの佐藤永記。なんでも、名馬を擬人化した育成ゲームの『ウマ娘』にどっぷりハマっているようで、ボートや競輪の予想の5倍ほどの熱量でその魅力を電話口でまくしたてたのである。
かくいう私はゲームよりも実際のバクチのほうが性に合うクチ。
「ゲームよりもガチのレースのほうがいいんだが……」
熱弁を遮り言うと、「じゃあ、ガチの“馬娘”がいる店に行きましょう!」と鼻息荒く連行されたのが今回のお店。競馬好きな女子が集まる池袋の「メイクデビュー」だ。
一緒に予想をすれば幸運の女神も微笑む!
当日、店の前で待ち合わせると、なんと私は牛柄、佐藤くんはこともあろうか京王閣競輪のマスクをして現れたのである。
「競馬の店なのに牛柄って、バカですか!」
「お前のほうこそ、競馬の店になんで競輪場のマスクしてんだよ!」
と、一悶着あったものの仲良く入店。出迎えてくれたのは葵チャンとりおチャン。さっそく乾杯して開始である。
もちろん馬も好きだけど、馬券を買うのはもっと大好き!「やっぱり、馬カワイー! みたいな感じなのかな?」
葵「そうですね~。私はオルフェーブルが好きなんで、産駒が出てたら注目しちゃいますね」
りお「私はどちらかというと、馬が好きというよりも、ギャンブルとしての競馬が好きですね。地元は千葉で、船橋競馬場も近かったですしね~」
2人とも競馬歴は浅いものの、しっかりと馬券を買って競馬を楽しむガチの競馬好き。店にはゲームの『ウマ娘』が好きなコもいるそうだが、2人はゲームよりも馬券が好きな“ウマジョ”なんだとか。
葵チャンによると……、「週末は競馬好きの方が集まって、レースを観ながら一緒に馬券を買ったりしてますね。平日も地方競馬はやっているので、ナイターレース観ながら楽しんでます」とのこと。競馬好きとやらない客の割合は半々くらいとのことなので、誰でもフラッと入って遊べるアットホームな雰囲気が居心地のよさの秘密なんだろう。
競馬場では味わえないここだけの楽しさがある!
気になるのは、2人の戦績。なんとりおチャンは、昨年の有馬記念を3連単で5万馬券を見事的中した実績があるのだとか。
「1番人気のクロノジェネシスから2、3着はマルチで買ったんです。200円ずつ買ってたから、10万円になっちゃいました!」2着に11番人気のサラキア入れる眼力はなかなか。ちなみに、私はそのサラキアを切ったために大ヤケドしたので、あまり思い出したくないレースである。
葵チャンは「なかなか馬券は得意じゃないんですよ~」と言うものの、予想はパドックを重視する本格派だ。
往々にして「競馬好きなんです~」という女子は、「馬がカワイイから」で止まっているのだが、この店はかなりガチ競馬好き女子がいるので、バクチ好きにはたまらない。時短営業が明けたら、ゆっくり飲みながらナイター競馬を楽しみに来たいものである。【競馬Cafe&Bar「メイクデビュー」】
住:東京都豊島区東池袋1-15-8 フジプラザ3-16
電:03-6914-1038
営:月~木18時~23時半/金18時~翌5時/土14時~翌5時/日14時~23時
休:不定休
※営業時間など変更の可能性あり。詳細はHPまで
料:カフェタイム14時~18時 1時間2200円 バータイム18時~ラスト1時間3300円(飲み放題)
取材協力/佐藤永記 撮影/赤松洋太
リモート疲れという言葉が、市民権を得て、1年余りが過ぎようとしている。かく言う私も自宅で原稿をシコシコ書いて、オンライン取材をダラダラやっているため、肩も背中も腰も全部バッキバキで悲鳴を上げている。
ダメだ……。そろそろマッサージ行かなきゃ、マジでリモート死する。でも、普通のマッサージじゃ面白くないし……と思っていたときに見つけたのがコチラ。秋葉原にある「和風癒やし処 和ノ国」だ。なんでもハイカラさんと呼ばれる、レトロな袴のコスチュームに身を包んだスタッフがマッサージしてくれるんだとか。
カワイイだけじゃない!施術テクで思わず昇天
受付でコースを聞かれたので、「キッチリ魂抜かれるくらい、ほぐしてくれるコースで!」と伝えたところ、オーソドックスな耳かき&ほぐしコースの60分7000円がオススメだという。
さっそくマッサージルームで着替えて待つと、ハイカラさんのあやかちゃんがやってきたのである。
「さっそく始めますね~。一番ツラいのはどちらですか? え? 全部? じゃあ、順番に背中から……うわぁ、ガッチガチじゃないですか。いきますよ!」
グイ! グイ!と、あやかちゃんの指が背中をほぐしていくと、血の巡りがよくなり数分でウトウトとしてしまう。極楽極楽、極楽浄土。気がつけばすっかり熟睡してしまったのである。
「いかがでした?」
「ひやぁ~、ひもちほくて、たまりゃぬですよ(※注 気持ちよくて、たまらんですよと言ったつもり)」
あやかちゃんの“ゴッドハンド”で図らずも秒殺されてしまい、気持ちいいんだか、寝てしまってマッサージを堪能できなくて損したような、複雑な気持ちに。
それもそのはず。あやかちゃんは新人のハイカラさんにマッサージや接客のルール研修を担当する“凄腕”なんだとか。「それにしても凝ってますねぇ~」
「カッチカチですいません……」
「いえいえ~。お仕事頑張ってらっしゃる証拠ですよ。毎日おつかれさまです」
耳かきはあまりの気持ちよさに数秒で撃沈
まさか、仕事するフリして日がな一日、ボートレースや競輪をやっているとは言い出しづらくなってしまった。そうこうしていると、全身のマッサージを終え、ドライヘッドスパへ。
「いや、意外と柔軟ですよ、私は」
「ちょっと~そっちの“固い”じゃないですって(笑)」
こんな感じでしっかりトークも弾みます。そして、締めくくりは耳かき。耳の入り口を心地よい強さでコリコリコリ……。あまりの気持ちよさに数秒で撃沈されてしまったのであった。
くにゃくにゃでトロトロにほぐされて店を出る。帰りの電車では着席と同時に熟睡。そのまま寝過ごして、5駅ほど乗り過ごしてしまったのであった。 【和風癒やし処 和ノ国】住:東京都千代田区外神田1-14-1 宝田中央通りビル7F
電:03-6206-9622
営:平日13~22時、土日12~22時
料:耳かき&ほぐしコース30分3800円~、オイルフットコース30分4900円~、指名料30分500円、ハイカラさん2人からの施術が楽しめるお殿様コースもある
取材協力/佐藤永記 撮影/赤松洋太