栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」

 近年、MCバトルが熱い。2012年からスタートした『高校生ラップ選手権』、2013年に園子温監督が手がけた初のバトルラップミュージカル映画『TOKYO TRIBE』など、徐々に界隈では盛り上がりを見せてはいたが、その人気を一気に押し上げたのが昨年からテレビ朝日で放送がスタートした『フリースタイルダンジョン』だ。

栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」

フリースタイルダンジョン公式サイトより

 日本語ラップ界の重鎮・Zeebraがオーガナイザーを務めるこの番組は、若手ラッパーたちがチャレンジャーとして、“モンスター”と呼ばれる第一線のラッパーたちに即興ラップで挑んでいくという趣旨。過去に無かったこの内容が話題を呼び、公式YouTubeチャンネルの累計再生数は今や1000万回を突破。ヒップホップに縁遠かった人にはもちろん、浅野忠信や北川景子といった芸能人にまで中毒者を増やしている。

ラッパーに見えない男DOTAMA


栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」

DOTAMA氏

 その『フリースタイルダンジョン』で、放送当初からチャレンジャーとしてリクエストが集まっていたのがDOTAMAという男。日本最大のMCバトル『UMB』では何度も全国大会に出場する実力者で、ヒップホップ好きには名の知れた人物なのだが、その出で立ちはラッパーとしては奇抜。メガネにジャケット、さらにはネクタイを着用しており、キャップにルーズなファッションという、ステレオタイプなラッパー像を浮かべていると見事に肩透かしをくらう。

 だが、一度ステージに上がればその物静かそうな見た目から一変、力強く高い声で速射砲のように相手に痛烈なdisを浴びせる。最近ではイベント、CM出演など活躍の場を広げるDOTAMAにこれまでの活動の経緯を聞いた。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1074429

「こういう人間でもラップできるんだ」


栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」――今年1月に『フリースタイルダンジョン』に出演された時の回が200万回再生に迫り、かなり反響が多かったと思うのですが、身の回りに変化はありましたか?

DOTAMA:ありがたいことに、去年8月に出したセカンドアルバムのセールスに動きがありまして、テレビの地上波の力をひしひしと感じています。ヒップホップって怖そうな人がやってて、ハードコアなイメージだと思うんですけど、僕はメガネをかけててこんな格好だし「こういう人間でもラップできるんだ」と、ヒップホップを聞かない方にも面白がってもらえているのかなと。

――ちなみにMCバトルはいつ頃から出場してるんですか?

DOTAMA:2003年、高校卒業してすぐの頃です。当時一番大きな大会だった『B-BOY PARK』というMCバトルの予選で、クラブチッタ(川崎)に行ったのが最初です。地元が栃木県の佐野市というところなんですが、バトルがある度に片道2時間ぐらいかけて都内に来てました。

栃木のホームセンターで働いていた


――移動だけでもひと苦労ですけど、よくそれを続けてきましたね。

栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」DOTAMA:その頃はまだYoutubeやTwitterが普及しておらず、地方のラッパーが名を挙げる手段が少なくて、一番手っ取り早いのが“MCバトルに出ること”だったんです。それに、僕は地元のクラブシーンにも溶け込めてなかったし、地元でMCバトルをやっている人口自体が少ないのもあって、必然的に東京に行くしかないなと。

「クラブに行ってもお酒が飲めない」


 高校卒業後は10年間サラリーマン(ホームセンターの社員!)とラッパー、2足のわらじで生活していたDOTAMA。都内のイベントに出演後、寝ずにそのまま仕事に行ったりという日もあったようだ。

DOTAMA:自分で言うのも何ですが、無意味に体力はあるんですよ。それにクソ真面目だったんで、ただ音楽だけをやろうと思って東京に行ってて。たまにクラブに行ってもお酒が飲めないので、いつもジンジャエールでした(笑)。

上京して半年間ライブゼロ


栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」――『フリースタイルダンジョン』もそうですが、NHKテレビへの出演など、ここ数年で一気に露出が増えてきたのには何か心境の変化があったんでしょうか。

DOTAMA:27歳の時に「歳も歳だからもっと頑張ってみよう」と、何の確信もないままサラリーマンを辞めて東京に出てきたんです。ちょうどその前年『UMB』というMCバトルの大会で東京予選優勝したのと、都内でよくライブオファーをいただいていたのもあって、ある程度はやっていけるかなと思って。

 でも、いざ上京したら半年ぐらい全くライブが無かったんです(笑) 作品を一年に一枚出したり、何かしらのアクションはしていたつもりだったのですが。これはやばいと焦っていた矢先、映画『TOKYO TRIBE』のYoutube公開オーディションがあったんです。当時はその形式でオーディションをやるのが珍しいこともあったので、色々な人に「このメガネ面白いな」と思ってもらえて、それは大きかったですね。

MCバトルは作品の一部


 冒頭でも少し触れたが、DOTAMAのバトルスタイルは対戦相手をのらりくらりとかわしつつ、ラップに隙が見えるととことんそこを突いていき、会場の空気を一気に持っていく。当時からそのスタイルは変わっていないのだろうか。

栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」DOTAMA:一貫して思っていることがあって、自分にとってMCバトルは作品の一部というか、クリエイティブなものにしたいんですよね。“バトル”とはいいながらも、顔見知り同士の対戦にもなってくると、お互いの褒め合いになったり、気を遣ってしまってラップの幅が狭まってくる。もちろん、それはそれで素晴らしいバトルだと思うんですけど、僕はもっとふざけた話を持ちかけてみたり、すごく辛辣なことを言ったりして、相手との距離をわざと突き放したり、色々新しい表現をバトルでやれるようにしています。ひいてはそれでお客さんも楽しめるのではと思っているので。

 今でこそ、MCバトルってスポーツ化されてますけど、本来は街のB-BOY同士の喧嘩なんです。例えばバトルの中で「殺す」とか「ぶっとばす」って言ったら後でとんでもない目に遭いますし。僕も以前、試合が終わった後、会場の裏に連れて行かれた経験があります(笑)。でも、それを気にしてたらお客さんも面白くないし、そこはリミッターを外しています。

“韻を踏む面白さ”を最近知った


栃木の会社員だった異色ラッパー・DOTAMA「MCバトルは作品の一部」 ラップには「韻」「フロウ」といった技術があり、多くのラッパーたちが身につけようと日頃から研鑽を積んでいるが、DOTAMAは少し違ったようだ。

DOTAMA:今の若い子達は、路上で円陣を作って8小節ごとに交代で即興ラップをしていく「サイファー」っていうのをやってて、みんな技術力が高いんです。 そうした基礎の技術が身に付いた上で新しいことをやるっていうのがラッパーは普通なんですけど、僕は逆で、先に新しいことをやろうとしていたんですよね。今ようやく「韻を踏むって面白いな」と気づき始めたところです。同世代のラッパーからは「遅えよ!」とは言われてますけど(笑)。

 最後、彼に今後の具体的なビジョンを聞いてみた。

DOTAMA:10年ぐらい活動させてもらってるんですけど、去年初めてワンマンをやらせてもらったり、『フリースタイルダンジョン』といった番組やCM出演など新しいことにチャレンジさせてもらったんで、改めてそれを踏まえて作品作りが出来ればなと。代わり映え無くて申し訳ないんですが…飽きられないように頑張ります。

 その見た目通り、終始謙虚な姿勢でインタビューに答えてくれたDOTAMA。栃木から東京、場所を変えても愚直に音楽を続けてきた彼が、今後慢心などする心配は無さそうだ。

 そして最後に無理を言って『SPA!』を元にした即興ラップをお願いしてみたところ、見事快諾。今回読者のためだけに届いた動画をお届けしよう。

⇒【動画】https://youtu.be/bqASpvD0HK4



●公式Twitterは@dotamatica

【リリース情報】
2nd album『ニューアルバム』好評発売中
音楽ワルキューレ2』(ニューアルバムに収録)

【ライブ情報】
3/26(土)@新宿SCIENCE
3/27(日)@渋谷HARLEM
詳しくは公式ホームページ http://dotamatica.com/live

<取材・文/東田俊介>

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