映画監督・是枝裕和が“家族”の物語を撮り続ける理由「自分がこうありたいと思っていた姿とはどれも違う」
映画『そして父になる』『海街diary』など、近年は“家族”をテーマに描いた作品を撮り、世界から高い評価を受ける是枝裕和監督。最新作『海よりもまだ深く』もまた、東京近郊の団地を舞台に、父として、夫として、あるいは息子として、ことごとく失敗してきた男が自らの人生を見つめ直すホームドラマだ。
2013年、『そして父になる』がカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、世界に名を轟かせる名匠のひとりとなった是枝だが、その本領は今作でも遺憾なく発揮されている。いつまでも夢や理想を追いかけ、現実を受け入れることができず、気づけば「こんなはずじゃなかった」というような人生を送っているのは、きっとこの映画の登場人物だけではない。わたしたちも、宇宙飛行士にもプロスポーツ選手にも小説家にもなれなかった、それぞれの慎ましい日々を暮らしている。
5月21日には、カンヌ国際映画祭に出品され、日本アカデミー賞4部門受賞作の『海街diary』がフジテレビ系にて地上波初登場となる。なぜ、最新作も“家族”をとりまく物語となったのか。カンヌ渡航直前の監督に話を聞くことができた。
――まず脚本の1ページ目に書かれたのは「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」という言葉だったそうですね。監督も子どもの頃は、映画監督とは違った夢があったのですか?
是枝:プロ野球選手ですね。そのへんは、真悟に重ねてるの。体がちっちゃかったから、こういうフォアボール狙いの、声の小さい子だった。でも代打じゃなくて、1番レフトだったけどね。フォアボールで塁に出て、盗塁する。
――今は映画監督として活躍されていますが、映画を志す分岐点があったのでしょうか?
是枝:大学時代ですね。もともと別にプロ野球選手になれると思ってたわけじゃないからさ、そこで挫折があったわけじゃないですよ。あの頃はみんな、卒業アルバムの「将来の夢」はプロ野球選手だったから。
なんとなく「学校の先生になろうかな」と思ったり、「文章を書いて飯が食えるといいな」と思い始めたのは高校生くらいで、「小説家になりたいな」と漠然と思って大学に入って「あっ、映画もいいな」っていう。

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