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ゴミの山…放置される老朽化マンションが急増中

まち情報, マンション, 住宅,スラム化 アベノミクス効果や五輪招致の成功で活況を呈すマンション市場。ベイエリアを中心に高層マンションが次々に建設されているが、その一方では、経年劣化の激しい“おんぼろマンション”も増加し、なかには深刻なトラブルを抱える物件も少なくない。  特に築30年を超えるような物件では、住民の高齢化や建物の老朽化、それに伴う空室率上昇や資産価値下落など、問題が山積している状況だ。  そうして“負のスパイラル”にはまったマンションには、「スラム化」という悪夢が待つ。共用部にはゴミが溢れ、ほとんどが空室になり、やがて怪しげな人間が住みつく……。そんな状態に陥ったマンションがすでに首都圏でも増加しているのだ。その惨状を追った。 ◆完全なるスラム化で建物がゴミの山に……  スラム化の兆候が表れ始めた神奈川県内の中古マンションに住む40代男性はこう話す。 「ウチのマンションは住人の多くが60代以上の年金生活者で、管理費を払わない世帯が多い。今はもう完全に管理ができていない状況で、共用部は荒れ放題です。もっと高齢の世帯だと老人ホームに入ってしまう人も多いため、空き家が増えるので、泥棒など治安上の心配もあります。エレベーターなんて扉が破損したままで、『完全に壊れるまではこのままでいい』なんて言われています」  “管理不全”の状態が長く続けばどうなるのか。埼玉県屈指の商業都市にある4階建て分譲マンションBは、そのいい例だ。  駅から徒歩数分という立地のよさながら、その佇まいはまるで廃墟。共用部には粗大ゴミが大量に打ち捨てられ、溜まった雨水にはボウフラが湧き、草木は伸び放題でジャングルのようになっている。なぜこのような惨状になったのか……。付近の不動産屋が事情を話す。 「あの物件は築25年くらいで、バブル期に建てられたものです。当初は賃貸用に建てられたものが家主の資金繰りが悪化して売りに出されたのですが、1棟だと買い手がつかず、1部屋ごとに売却した。でも、正式な分譲ではないので管理組合なんてない。だから所有者たちはそれぞれやりたい放題ですよ。共用部が荒れていって、いつの間にかあの状態ですよ」  近隣の住民もこう話す。 「たぶん今も何人かは住んでいると思うんだけど、外国人も出入りしてたし、どんな人なのかわからない。正直、不気味だよ」  管理不全がスラム化を招くのは賃貸物件でも同じだ。JR東京駅から30分ほどの埼玉県のベッドタウン。付近ではタワーマンションの建設が次々に進むなか、不気味なオーラを放つ5階建てマンションCがあった。  ツタが絡まる壁面はヒビ割れがひどく、窓ガラスはところどころ割れたまま。1階には飲食店テナントが入居していたようだが、今は閉店し、その荒廃感を際立たせている。ただ、この物件、廃墟かと思いきや5階だけ共用部の照明が灯っている。近隣住民曰く「夜になると電気のつく部屋がいくつかある」そうで、驚くべきことにまだ居住者がいるようだ。  ちなみに、登記簿によるとマンションCは築40年で、元の持ち主から別の人物に売却され、数年前にその息子2人に相続されている。付近の不動産屋は「相続で揉めているのか、その頃から荒れ具合がひどくなった」と話すが、いずれにせよ、管理が放棄されてしまっているのは明らかだ。 「地方ではさらに問題が深刻になっています。売れ残った部屋を大都市在住のサラリーマン向けに投資物件化したマンションなどは、当初から管理組合の機能が弱いところが多い。そういった物件の増加も、スラム化の進行に拍車をかけています」(日本マンション学会の松本恭治理事)  このようなマンションが各地に林立する未来が迫ってきている。 ― [マンションのスラム化]がヤバ過ぎる!【1】 ―
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