「無実なのに処刑」か? 第二の足利事件と言われる飯塚事件


写真左側が、DNA鑑定した元のネガフィルム。このネガをポジ(写真を現像したときと同じ状態)にした中央の写真と、検察が証拠として提出した右側の写真を比べると、右側は写真の上部を切り取ったうえ、暗くぼやかしていることがわかる。赤い点は検察が強調のためにつけたもの(『再審と科学鑑定』矢澤昇治編、日本評論社)より引用)
現場は急なカーブが続く下り坂で、不審な車と男が見えるのは10秒程度。確かに、T証言ほど多くの細かい特徴を記憶する余裕はない。不審車両の場所から約15m先には急な左カーブが迫る。車を運転していた目撃者は、「時速25~30kmで不審車両を通り過ぎながら振り返り、後輪がダブルタイヤであることを確認した」という。 だが、25kmのスピードで進みながら不審車両を3秒間振り返っただけで、危うく次のカーブに突っ込みそうになった。しかもその3秒間では、車体の影にある車の後輪の特徴に目が行く余裕もない。 しかも、実は目撃証言から久間氏の車が割り出されたのではない。 「1992年3月7日に警察官が久間氏の自宅を訪れ、『その車のボディにラインが入っていないことを確認した』という捜査報告書が出てきたのです。T証言の日付は同年3月9日。この証言をもとに久間氏の車を割り出したというのはウソだということがはっきりしました」 再審請求が却下されてすぐ、弁護団は特別抗告した。無実の人を殺してしまった可能性の高いこの事件、このまま闇に葬らせてはならない。 <取材・文・撮影/足立力也>
【関連キーワードから記事を探す】
なぜ、危ない玩具がネットで買える? 宝塚・ボウガン殺傷事件で改めて考える
名古屋デリヘル嬢の暴行致死事件。弁護人が職業べっ視発言を連発、変な空気に…
デジタル捜査のプロ、埼玉県警の敏腕刑事が刑事を辞めた理由
さいたま小四男児殺害事件が象徴する、働く母親の活躍と理想の子育ての距離/鈴木涼美
一家心中があった物件に、家族で住んでみた男の恐怖体験
紀州のドンファン殺人事件。地元記者が言及する冤罪の可能性
ホテルへ女性社員から誘われたのに、セクハラされたと訴えられた!どうしたら…
痴漢に間違われて人生終了…知っておくべき冤罪リスクの突破術
「埼京線の先頭車両で触ってください」痴漢プレイ待ち合わせ掲示板の書き込みを追う
スマホを手に持って歩いていただけで犯罪に巻き込まれた…【知られざる 歩きスマホ事件簿】