アラフォー世代が「高学歴貧困」に陥りやすい理由
狭き門を潜り抜け、難関大学を卒業したというのに、希望の職に就けなかったり、転職を繰り返すうちに収入がシュリンクしていったりといった理由で300万円以下の低年収に苦しむ人たち。「高学歴ワーキングプア」という属性が注目されるようになって久しいが、なぜ高学歴にもかかわらず貧困に陥ってしまうのか。労働社会学を専門とする甲南大学文学部准教授、社会学者の阿部真大氏に聞いた。
「高学歴にもかかわらず貧困に陥っている人には、世間的には一流とされる企業に就職したとしても『これは自分のやるべき仕事じゃない!』と後先を考えずに転職してしまったり、『大学院まで出たんだから中途半端な職に就くくらいならバイトしながら研究を続けたい』と理想を貫いてしまったりする人が多い。カネにもならないプライドを優先してしまう『プライド固執型』とでもいうべきでしょうか」
なかでもアラフォー世代は貧困に陥りやすい傾向があるという。
「いまのアラフォー(36歳~44歳)はバブル崩壊直後の93年から01年に就職活動をした、就職氷河期ど真ん中世代。高学歴とはいえ、採用自体が絞られれば、学歴や資質を生かした職に就けない、正規雇用にありつけないといった『ミスマッチ型』も増えた。さらに、90年代は大学院教育が重点化され、大学院進学者が一気に増えた時代でもあります。そのせいで『質の低い大学院生が増えた』と言われ、企業には相手にされないわ、少子化で教員のポストが減るなか、大学にも職はないわで踏んだり蹴ったり。大学院卒の貧困者が多いのもこの世代です」
親の介護や突然の病気などで貧困に陥ってしまう『青天の霹靂型』もいる。
「昔に比べて、高学歴者でも、突然ふりかかる介護や病気にも対応できる経済的余裕がある人はごくわずか。共働きで年収1000万円あるような家庭でも、無理な住宅ローンを組んでいたり、どちらかが働けなくなったときのことを考えずに生活設計をしているような人たちは、一気に貧困化するリスクを抱えています」
上の世代のように終身雇用に甘えて逃げ切ることもできないし、不況下で育ったがゆえに高望みをせずにほどほどの働き口で満足できるアラサー世代のように割り切ることもできない……。4/7発売の週刊SPA!『高学歴貧困のリアル』ではそんなアラフォーの実例を紹介しているので、こちらもぜひご一読を。 <取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/西アズナブル>
『週刊SPA!4/14・21号(4/7発売)』 表紙の人/木村拓哉 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
ハッシュタグ