更新日:2022年06月22日 00:34
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なかなか人と親しくなれない女性31歳の悩み「職場では私だけ飲み会に誘われないことも…」

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】 “外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える! ◆自分が誰からも興味を持たれない人間に思える テンテケ(ペンネーム)・公務員・女性・31歳  両親が不仲だった時期が長く、私はわがままを言わずに家族の仲を取り持つようにしてきました。父が情緒不安定な人だったので、物を投げられたり暴言を吐かれたりしてきました。 自分が誰からも興味を持たれない人間に思える そんな両親は私が16歳の頃に別居し、離婚しました。その後、私は不安を少しでも埋めるように勉強に励み、旧帝大クラスの大学を出て、現在は国家公務員として働いています。仕事は苦しいことも多いですが、やりがいを感じる場面もあります。  しかし、休日には気力が湧かずに伏せっていることが多いです。自分を抑えて生きてきたため、自分の気持ちを率直に言えません。なかなか人と親しくなることができず、職場では私だけ飲み会に誘われないこともあります。  自分が存在感の希薄な誰からも興味を持たれない人間に思えるときがあります。こんなふうに生きるのがとても苦しいです。 ◆佐藤優の回答  一番大切なことは、これまでのあなたの人生を肯定することです。家族のためにも十分努力し、勉強も一生懸命して、難関大学に合格しました。大学生時代も真面目に勉強したので、国家公務員試験にも合格することができました。過去の記憶から、楽しかったこと、嬉しかったことを引き出してきましょう。  人生には、いろいろな出来事があります。良いことだけの人生という人も、これまでに悪いことしかなかったという人もいません。そのうえで、あなたの50年後について考えてみましょう。81歳になったとき、あなたはどのような生活をしているでしょうか。私が尊敬する大城立裕先生が今年、川端康成賞を受賞した『レールの向こう』という小説にこんなことを書いています。 《お前の記憶の測定は、いずれも私を長嘆息させるものだ。トランプの記号や数字やアルファベットや五十音が、こんなにも人間を試すものか。「ここに二桁の数字を書いた、小さなカードがあります……」と、スタッフが出題するのを聞きながら、私は若いお父さんが保育園児に付き添っている気持ちにさせられる。「これらのうち、足して四十に満ちるものを右に、満たないものを左にまとめて置いてください」と言ったあとで、お前が真剣に従うのを、スタッフはストップ・ウォッチで計る。その成績を気にする前に、こんな簡単な算数の問題を笑いも侮りもせずに、幼児なみに素直に間違えていくお前を、あらためて抱きしめてやりたくもなる。》(『レールの向こう』12頁)  長年、一緒に暮らしていた妻が脳梗塞で倒れ、記憶障害が起きたためにリハビリをしている姿です。人生の終着点に近付いたときに、自分のそばにパートナーがいるということは、とても重要だと思います。  私も外務省で働いた経験があるので、国家公務員の忙しさは、皮膚感覚でわかります。特に入省してから30代前半までは、ボロ雑巾のようにこき使われます。「休日には気力が湧かずに伏せっていることが多いです」というのは、あなたと同じ年齢の国家公務員の標準的な状態と思います。役所で自分の意見が言えるようになるためには、仕事で実績をあげる必要があります。傑出した能力がなくても、年次が上がれば、それなりのポストに就くので、自分の意見が言えるようになります。  あなたは、「自分が存在感の希薄な、誰からも興味を持たれない人間に思えるときがあります」と書いていますが、実はここに問題を解決する鍵があります。あなたに関心を持ってくれる人が現れればいいのです。恥ずかしがらずに、婚活をすることをお勧めします。結婚紹介所に登録しても、あるいは役所の上司にさりげなく話をすれば、お見合いの話を持ってきてくれます。  私生活でお互いに尊重することができる人を見いだすことができれば、あなたの環境は劇的に変化します。勇気を出して婚活に向けて一歩踏み出しましょう。 【今回の教訓】 恥ずかしがらず婚活することを勧めます ◆募集 佐藤優さんへの相談を募集中。匿名希望の方はペンネームを記入してください。採用者には記念品をお送り致します。 ⇒応募はコチラから https://nikkan-spa.jp/icol_form(PCのみ対応) 【佐藤優】 ’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』のなど著書多数。最新刊は『90分でわかる日本の危機
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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生き抜くための読書術

ウクライナ危機、元首相暗殺事件、コロナ社会、貧困etc. 分断社会を打破する書物とは?

90分でわかる日本の危機

ニッポン放送で大好評だった特別番組を書籍化。日本再生をテーマに、著者が下村博文文科相、山口那津男公明党代表など5人の専門家と語り尽くす。’15年刊

レールの向こう

川端康成文学賞を受賞した表題作と新作「病棟の窓」を収録する最新作品集。

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