ジェダイも真っ青の実力なのに会場はスッカスカ。フェンシングは太田雄貴選手の言う通りカネがなさそうだった件
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第20回~
フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営している スポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。
2020年東京五輪を見据え、穴場競技の視察をつづける本連載。年末年始はちょっと困ったことになっていました。近場で適当な穴がなかったのです。冬だからですかね。見る人もいないのに寒いところで何かするのはイヤなのかもしれません。月末はクリスマス&お正月ですし。
仕方なく選んだのが年末に行なわれたフェンシングの全日本選手権。いや、しかし、ねぇ。フェンシングって言ったら太田雄貴さんという世界チャンピオンがいるじゃないですか。北京・ロンドン2大会連続でメダリストを生んでいますし。剣とか防具もちょっとカッコいい。ちっとも穴っぽくないじゃないですか。
会場となる駒沢オリンピック公園総合運動場は、3000人も入ったら満杯という小規模な会場。こりゃギッチギチというか、入れないかもしれないぞと覚悟のうえでの物見遊山です。眩しい冬の日差しの中で、銀色のドアを開けて飛び込んだ会場。しかし、僕がそこで見たのは一面のイスでした。
「スッカスカだ……!!」
何ということでしょう。フェンシングは期待を遥かに超える、ド穴場じゃないですか。一見、人気がありそうで、ない。この煙幕のようなイメージ戦略。穴場競技にありがちな身内の組織的応援団(※大学の関係者とか)もなく、ガチのスッカスカ。僕の見立てでは「選手」「親兄弟」「物好き」の3パターンしかいません。下手したら、見ている客よりやってる剣士のほうが多いんじゃないかとさえ思うほど。
「安心してください、空いてますよ。フェンシングは!」
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入り口のドアが普通に開いているあたりに、「手荷物検査とかセキュリティとか一切ないんですね」と穴場感を覚えつつ入場。入場口奥では、長机を並べて関係者がチケットを手売り中。チケットはコチラでーす、的な声掛けも小さな声で行なわれています。僕は「混んでるかも」前提で事前に入場券を買っていたものですから、ハイヨとチケットを提示したらば、「え?お持ちなんですか」という若干の驚きオーラを出してくる始末。待て、何故驚く。持ってるよ。混んでると思ってきたんだもん。
珍しいものでも見るような顔で見られながら、僕はさらに奥に進んでいきます。そして飛び込んできた光景。フルーレという2大会連続で五輪のメダルを獲得した有力種目の日本一を決める大一番の日、コレ以上はないだろうというタイミングで来ているつもりだったのですが……
スタンドの上にいる人数より、下でチャンチャンバラバラしている人数のほうが多いんじゃないか。やたらとにぎわっているフロアを見ながら、「太田雄貴ブームなんてものはなかったんだろうな」とジンワリ思います。そう言えば、北京で太田さんがメダルを獲ったときも、事前の金策とか事後の就職活動が話題になりました。ロンドンのときは団体戦のメンバーの飛行機代が3人分までしか出なくて、ひとり自腹でロンドンに行ったという話も聞きました。なるほど、この感じであれば納得です。まずもって客がいないんですから、カネがあるわけがない。
もちろんフェンシング界も手をこまねいているわけではありません。ほとんど選手しかいない会場で、フェンシングは猛烈にマネタイズを仕掛けてきます。まずロビーにはフェンシング用具ショップが3店舗。剣先とか面とか、フェンシング関係者以外買わないだろうものを、3店舗が競り合いながら販売しています。「誰が買うねん!」と思ったものの、試合をしている選手が結構買いにくるという、身内での完結感。生まれて初めてフェンシングの剣先を買っている現場を見ました。
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そうした選手向けグッズだけでなく、ファン向けのものも一応あります。まず目に飛び込んでくるのは、フェンシング界が「リボンの騎士」など手塚プロのキャラクターとコラボして生まれたグッズ群。リボンの騎士はわかるんですけど、ジャングル大帝とか鉄腕アトムも普通に剣を持っているのを見たときは「一ヶ所で済まそうと思わず、ちゃんと剣を持つ漫画を集めてきなさい」と小言を言いたい気分にもなりました。
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コラボグッズはTシャツ、タオルなど定番の品を各種揃えて積極販売。さらに太田雄貴選手ら有名選手のサイン入りグッズ、サイン入りカレンダーなどを販売する店も出ており、客数に対して過剰なまでにグッズを持ち込んできていました。1冊のカレンダーに複数の選手がサインを書き入れたモノなどもあり、「フェンシング、カネ欲しがってるなぁ」というのがビンビン伝わってきます。
次回は思いもよらぬ美少女剣士を発見! その実力とともにリポートします。

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