五郎丸ブームだけでラグビーブームはまだ来てない!? 7人制女子ラグビーが安定の穴場な件
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第18回~
フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営している スポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。
「ブームから文化へ」という言葉が注目を集めた2015年。突如としてブームがやってきて、一気に文化を目指そうとした競技、それがラグビーでした。強豪・南アフリカからの大金星を含むワールドカップ3勝は、「五郎丸(ポーズ)」が流行語となるほどのインパクトを世間に与え、一躍国民的なヒーローとなりました。
そんな中、今回「穴場」として探訪する競技は7人制ラグビーです。
2020年東京五輪に向けてチケットが取りやすそうな穴場を視察している本稿としてみれば、大ブーム中の競技は最初から敬遠と決め込むべきところ。全国各地にラグビー場があり、有名企業の実業団チームがあるような競技が「穴場」でなどあるはずがない。
しかし、はたして本当にそうだろうか。疑いの発端となったのは11月から開幕したラグビー・トップリーグ。国立競技場からもほど近い秩父宮ラグビー場にて、僕もトップリーグの試合を観戦しました。前売り券完売などという景気いいニュースもあったのですが、実際に観に行ってみると大量の空席があるではないですか。
開幕当初はチケット販売の読み違いなどもあり、当日券を売り損ねたりもしたそうですが、当日券を売っている試合でもキッチリと席は余っている。25000人弱の収容である秩父宮ラグビー場の半分ほどは空席です。そこで僕はピーンときます。今来ているのはラグビーブームではなく、ラグビー日本代表ブームもしくは五郎丸ブームだな、と。サッカー日本代表の試合は満員になっても、Jリーグが満員になるわけではないというアレだな、と。
ということは、「7人制ラグビー」は逆に穴かもしれない。ラグビーが盛り上がっていそうな雰囲気と、実態が乖離しているならば、隙が生まれるのではないか。最初から5000人しか入らない会場で実施される不人気競技の場合、5000人のマニアが来たらいっぱいです。しかし、5万人弱が入れる味の素スタジアムで行なうラグビーなら、1万人のマニアが来てもまだ4万席が余る計算。膨らんだイメージと、そうでもない現実のギャップによって、思わぬ穴場になっているのではないかと踏んだわけです。
~お目当てはコチラ、ラグビー女子7人制のアジア予選~
「次に世界を驚かすのは、私たちだ。」のキャッチコピーでおわかりのように、このポスターはワールドカップでの南アフリカ戦が行なわれたあとの掲出物。試合が行なわれたのはトップリーグ開幕で再び報道量が増えた11月下旬で、「勝てばリオ出場が決まる」という大一番、会場は東京のド真ん中です。これ以上の条件はないでしょう。この試合で入る人数が、現状の女子7人制のマックスと考えて差し支えないはずです。
11月29日、絶対に売り切れはないと思いつつも、一応前売り券をキープしたうえで向かった神宮の杜。千駄ヶ谷駅に降り立ちますと、いきなり人の大群が。まさか、ラグビーか!? と一瞬焦りますが、それは近くで行なわれるチアリーディングの大会に参加する子どもたちの群れでした。ふぅー、危ない危ない。早朝から並ぶほどのブームが来てるかと思ったわ。
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1013238
そして到着しました秩父宮ラグビー場。空も青く晴れて絶好の観戦日和です。早速、門をくぐりますとそこにはパラパラッとした人手が。当日券売り場には短蛇の列もできています。グッズ売り場には売り子とマンツーマンくらいの感じで客が並び、少しずつ場内へと吸い込まれていきます。
そしていざ場内へ。この日はリオ五輪の出場権を争う6ヶ国が試合を行ないます。出場国は日本、カザフスタン、中国、香港、グアム、スリランカ。日本は先立って行われたアジア予選・香港ラウンドで優勝しており、日本ラウンドも連覇すればリオ行きを決めるという立場です。
まず二日間にわけて6ヶ国が総当たりで対戦し、その結果を受けて「予選1位対2位」「予選3位対4位」「予選5位対6位」の順位決定戦を行なうという仕組み。1位・2位決定戦で勝てば優勝=リオ確定。この日は、予選リーグの2試合と順位決定戦を合わせた計3試合を日本代表は戦います。日本代表サクラセブンズを出迎えた、「たぶんコレが現状のマックス」となる観衆は……
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1013303
同じ場所、ほぼ同じタイミングで見たラグビー・トップリーグよりも客足はやや鈍いかなといった感触。トップリーグを観戦した日は強い雨が降っていたのですが、悪天候の中でもトップリーグのほうが客入りはよいように見受けられました。ラグビー自体もこれからというところなわけで、女子の7人制となればまだまだこれからの種目なのでしょう。
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1013318
そもそも7人制って、まったく見慣れない競技じゃないですか。五輪で実施されるのはリオ大会が初ですし、五郎丸が出るわけでもない。そこにラグビーとはイメージが結びつきづらい女子選手が参戦するのです。そう考えれば「穴」であるほうが当たり前。今まさに穴が生まれている途中と考えるべきでしょう。どんなものでも生まれた直後は穴であり、穴からじょじょに芽が生えてくるのです。安心してください、穴、開いてますよ。
次回は競技が穴場な理由を掘り下げてリポートします。
|
『自由すぎるオリンピック観戦術』 スポーツイベントがあるごとに、世間をアッと言わせるコラムを書き続ける、スポーツ観戦ブログ『フモフモコラム』の中のひとによるオリンピック観戦本 ![]() |
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
熱狂のイベント「ビキニ卓球」を知ってる?こぼれそうなお尻やバストに大興奮!
「一度もベッドで寝なかった」パリオリンピック3泊5日で合計27万円の節約旅
「アスリートは聖人君子である必要はない!」柔道男子100kg級代表ウルフ・アロンが“本音”を語る理由
ウルフ・アロンが明かす!パリ五輪内定前、「付き人に"生存確認”がいく」ほど家に引きこもっていた
柔道男子100kg級代表ウルフ・アロン「自分の柔道? する気はないですよ」の真意
「すべてが甘かった」ラグビー女子セブンズ日本代表、中村知春の後悔と決意
女子7人制ラグビーはブラジルで大人気!? サクラセブンズの応援に行ってきた
ラグビー女子“サクラセブンズ”の素顔「女性ばかりの集団なので、昔はいろいろありました」
7人制ラグビー女子日本代表・サクラセブンズ【選手一覧】
「ラグビーってホントめちゃめちゃ痛いんです」女子日本代表“サクラセブンズ”主将・中村知春選手
「”ほぼ無観客開催”の楽しみ方」東京五輪の穴場競技を7年追い続けた男の現在
東京五輪開催へ…前哨戦で明らかになった「有観客と無観客の違い」
東京五輪は期待大。「攻め姿勢」でコロナ禍を乗り越えるハンドボール代表の活躍
東京五輪“有観客開催”の試金石!チケット完売の全日本体操選手権観戦記
コロナ禍の先に見えるスポーツの未来。リスタートする東京五輪への期待は?
“優勝”を目指していたラグビー日本代表はなぜ勝てなかったのか。背景には2つの「厳しい条件」が
元ラグビー日本代表キャプテンが語る、「ブライトンの奇跡」を生んだチーム作りの秘訣
「すべてが甘かった」ラグビー女子セブンズ日本代表、中村知春の後悔と決意
“松ちゃん似”の中島イシレリが語る「ラグビーW杯日本大会とその後」
ラグビーでライバル関係が再燃!? イングランドとアイルランドの歴史的因縁
女性は男性の乳首をチェックしている…きっかけは「ウォーターボーイズ」!?
五郎丸ブームだけでラグビーブームはまだ来てない!? 7人制女子ラグビーが安定の穴場な件
「五郎丸ヘアは薄毛の人たちにオススメ」プロに聞くスタイリングのコツ
五郎丸ポーズをマネしてそうな男1位・井戸田潤「共演をオファーしたら丁寧に断られました…」【第25回】
男女300人に聞いた「あなたの今年の漢字は?」 第1位は「苦」
この記者は、他にもこんな記事を書いています